国会の施政方針演説の場で、野党側の医師出身議員ワロン氏がディーゼル燃料の大量消失疑惑を取り上げ、政府に厳しい説明責任を求めた。同氏は「国を食い物にする組織」と名指しし、システム上から700万リットル超のディーゼルが消えていると主張。架空取引を意味する「ナムマンロム(幽霊燃料)」という表現を使い、不正の構造を指摘した。
ワロン氏は、担当閣僚に対し当日中の釈明を要求。回答がなければ刑事責任を問われる可能性があると警告し、国会は一時騒然となった。ディーゼルの流通量と実際の消費量の乖離は以前から業界内で指摘されており、今回の追及は具体的な数字を伴う形で問題を浮き彫りにした格好である。
この問題は、前日の施政方針演説でも石油7億リットル超の所在不明が取り上げられ、国会での追及が連日続いている。背景には、中東情勢の悪化に伴うエネルギー価格の高騰があり、燃料の買い占めや不正流通への国民の怒りが強まっている。
法務当局も動きを見せており、DSI(特別捜査局)は石油買い占め組織の捜査を「特別事件」に格上げして本格的な捜査に着手。さらに石油タンクローリー1万1千台が配送せずに買い占めを行っていた疑惑や、ラチャブリー県の工場でディーゼル14万2千リットルが備蓄されていた摘発事例など、具体的な不正の実態が次々と明らかになっている。
ディーゼル価格が1リットル50バーツを超え、物流や漁業など幅広い産業が打撃を受けるなか、燃料の不正流通は国民生活に直結する問題である。国会での追及が政府の具体的な対策につながるかが今後の焦点となる。
