日産自動車は4月上旬、サムットプラカーン県バンナートラート通りの第1・第2工場を統合した製造拠点で新型キックスe-POWERの量産を開始した。統合後初めてメディアに工場を公開し、投資額は30億円以上に上る。
日本・ASEAN地域統括のショウヘイ・ヤマザキ会長は式典で「業界は大きな変革期にあるが、日本品質を維持する姿勢で乗り越えてきた」と述べた。日産はタイで73年以上にわたり事業を展開しており、今回の統合は生産効率の向上とコスト削減を同時に狙う大型プロジェクトである。
キックスe-POWERはエンジンで発電しモーターで駆動するシリーズハイブリッド方式を採用している。燃料危機が深刻化するタイでは、ガソリン車より燃費に優れる電動車への関心が急速に高まっており、日産にとっては追い風が吹く。
2工場の統合は2025年初頭から進められていた。敷地を一本化することで部品の物流動線が短縮され、生産ラインの柔軟性も向上する。タイは日産にとってASEAN地域の主力生産拠点であり、輸出向けモデルの拡大も視野に入れている。
中国EVメーカーの台頭でタイの自動車市場は競争が激化している。30億円超の大型投資は「タイでの生産を続ける」という明確なメッセージであり、日系メーカーとしての存在感を改めて示した形である。