タイの大手デベロッパー、オリジン・プロパティー(ORI)がタイランド・ロングステイ機構と業務提携し、外国人向けのコンドミニアム販売キャンペーンを開始した。対象物件を購入した外国人には最長3年間の滞在ビザが付与される仕組みで、タイを長期居住と投資の拠点として世界に売り込む狙いがある。
タイ政府はかねてより富裕層の外国人誘致を成長戦略の柱に据えてきた。ロングステイビザ制度はその中核施策であり、今回の提携はデベロッパー側が販売チャネルとして同制度を活用する初の本格的な事例となる。購入者はビザ申請の煩雑な手続きを省略でき、物件選びから居住権の取得までをワンストップで完結できる点が最大の売りである。
ORIは国内で多数のコンドミニアムプロジェクトを展開しており、バンコク都心部から郊外まで幅広い価格帯の物件を抱える。同社はキャンペーンを通じて、地政学リスクの高まりを背景に安全な資産の置き場所を求める外国人投資家を取り込みたい考えだ。「タイを世界のセーフヘイブン(安全な避難先)にする」という標語を掲げ、政情の安定や生活コストの低さを訴求する。
不動産業界では、中東情勢の悪化やエネルギー価格の高騰を受け、東南アジアへの資産分散を検討する欧米・中東の富裕層が増えているとの分析がある。タイはすでにリタイアメント層の移住先として根強い人気を持つが、現役世代の長期滞在者を呼び込むには住居と在留資格のセット提供が不可欠だった。
今回の施策が成功すれば、他のデベロッパーも追随する可能性が高い。ただし外国人によるコンドミニアム取得はタイの法律上、1棟あたりの外国人所有比率が49%以内に制限されており、人気物件では枠の争奪が激化する懸念もある。タイ不動産市場が本格的な国際化に向かうのか、今後の販売動向が試金石となりそうだ。