タイ北部・パヤオ県チェンカム郡バーンプアーレーン村で、僧侶が提供する「ぶら脚麺」(面を食べながら足をぶらぶらさせる伝統スタイル)が1杯5バーツという激安価格で話題になっている。寺院が運営するこの屋台は物価高騰に苦しむ地域住民の家計を支えるとともに、独特の食事体験を求めて観光客も訪れるようになり、地域経済の活性化にも貢献している。
1杯5バーツという価格は、2026年時点のバンコク市内の一般的な麺価格(40〜70バーツ)の約10〜15分の1だ。寺院が食材費と調理費を補助する形で格安運営を可能にしており、地元の農家や商人から食材の寄付も集まっている。
「ぶら脚麺」(เส้นขาดาน、センカー・ダーン)は木製の縁台や渡り廊下の端に腰を下ろし、足をぶらぶらさせながら食べるタイ北部伝統の食事スタイルだ。もともと農作業の合間に川沿いや農道脇で食べるワーキングクラスの食文化で、近年はインスタ映えスポットとして若者に再評価されている。
施設を運営する住職は「人々の生活費が上がっている。寺には食材を提供してくれる支援者がいる。麺を安く出して地域の人が少し楽になれれば十分だ」と語っている。地元商業組合はこの取り組みを「地域ブランディングの成功例」として評価し、観光スポットとして積極的にSNSで発信している。
タイ農業省の食料価格指数によると、2025〜2026年にかけて食材費は前年比で5〜8%上昇した。都市部の低収入世帯や農村部の年金生活者には食費の増加が重くのしかかっており、格安食堂・屋台の社会的役割が改めて評価されている。タイの寺院は伝統的に地域コミュニティの中心地として機能しており、料理・食文化・教育・医療などの社会サービスを担う側面がある。