パヤオ県チェンカム郡のバーンプアレーン村に、1杯5バーツ(約25円)の麺屋が登場した。仕掛けたのは地元の僧侶である。
川沿いの景勝地に設けられた食事スペースは「足ぶら麺」と呼ばれるスタイル。木製のテラスに腰掛けて足を垂らしながら、目の前の自然を眺めて食べる。1杯5バーツという破格の価格は、燃料高と物価上昇に苦しむ住民の負担を少しでも軽くしたいという僧侶の思いから設定された。
普通の屋台でも1杯40〜60バーツが当たり前のタイで、5バーツは原材料費にもならない。利益を出す仕組みではなく、地域の人々が気軽に食事を楽しめる場を作ることが目的だ。
同時に、この取り組みには観光振興の狙いもある。足ぶらスタイルのユニークな食事体験がSNSで話題になれば、チェンカム郡への観光客が増え、村全体の収入につながる。チェンマイ・ソンクランの予約が燃料高で半減するなど北部の観光業が苦境にある中、草の根の工夫で人を呼ぼうという発想である。
タイでは寺院が地域コミュニティの中心として機能することが珍しくない。プラスチックごみからガソリンを自作する寺院もあったが、今度は麺で住民を助ける僧侶が現れた。燃料危機の中で、タイの寺院は独自の方法で社会を支え続けている。



