南部の石油備蓄施設からスラタニー県に向けて輸送されるはずだった燃料5,700万リットルが「消失」していたことが明らかになった。ルッタポン・ナオワラット法務大臣が中東情勢対策本部での会見で発表し、特別捜査局(DSI)に特別捜査案件として引き継ぐよう指示した。
5,700万リットルは、上部南部8県に燃料を供給するスラタニー県の大規模備蓄施設に配送される途中で行方不明になった。DSIが先に同県で摘発した備蓄施設では、ディーゼルの出荷量が1か月で倍増する不自然なデータが確認されていた。今回の「消失」はその延長線上にあるとみられる。
タイ海軍は20件のタンカーの不審航行を確認しており、意図的な配送遅延、公海上での船舶間移送、経路変更の3つの手口を特定している。5,700万リットルの一部がこれらの手口で横流しされた可能性がある。
DSIが特別捜査案件として正式に受理したことで、通常の警察捜査よりも重い罰則が適用される。マネーロンダリング法による資産凍結・没収も視野に入る。南部の石油倉庫11か所への急襲から始まった捜査は、数千万リットル規模の組織的な燃料横流しネットワークの存在を示す段階に入った。
タイの燃料危機は中東戦争による国際価格の高騰だけでなく、国内の流通過程での不正が重なって深刻化していた構図が鮮明になりつつある。消費者が47バーツのディーゼルに苦しむ裏で、5,700万リットルもの燃料が闇に消えていた事実は衝撃的である。

