タイ海洋権益保護センター(CMES)は4月3日、タンカーの航行データを分析した結果、不審な燃料輸送が20件確認されたと発表した。意図的な配送遅延や海上での船舶間移送など、複数の手口が浮かび上がっている。
CMESのタダウット・タッピタックン海軍大将(海軍参謀長兼CMES事務局長)は、首相官邸での中東情勢対策本部会議後に記者会見を行った。3月のホルムズ海峡封鎖以降、タイ国内の燃料供給に不審な動きが相次いでいることを受け、海上の監視を強化していたという。
調査で判明した手口は3つある。第1に、正規ルートの燃料輸送で意図的に配送を遅らせ、市場の品薄感を演出する「ゆっくり配送」。第2に、公海上で別の船に燃料を移し替える「洋上移送」。先にTikTok動画で撮影されたタイ国旗のタンカーによる燃料移送もこのパターンに該当する。第3に、本来の目的地とは異なるルートに迂回させる「経路変更」である。
DSIが摘発したスラタニー県の石油備蓄施設では、ディーゼルの出荷量が1か月で倍増する不自然なデータが確認されていた。CMESは不正が確認された事案をDSIに送致し、法的措置を進める方針である。
タイ政府は南部の石油倉庫11か所への急襲に続き、海上ルートの監視も本格化させている。燃料危機の裏側で暗躍する「闇の石油ネットワーク」の全容解明に向け、陸海両面からの包囲網が狭まりつつある。


