タイの特別捜査局(DSI)は4月2日、スラタニー県タピー川河口付近にある大規模な石油備蓄施設を捜索した。上部南部地域への燃料供給を担う大手石油業者の施設で、ディーゼルの出荷量に不自然な急増が確認されている。
捜査のきっかけは販売データの異常である。この業者のベンジン(ガソリン)販売量は2月の約170万リットルから3月には約40万リットルに急減した。一方でディーゼルは2月の約480万リットルから3月には約1,000万リットルへと倍増している。全国平均のディーゼル出荷増加率が20%にとどまるなか、100%の急増は極めて不自然である。
この業者は燃料取引法(2543年)第7条に基づく大規模取引業者の認可を受けており、上部南部全域に燃料を配送する拠点として機能していた。DSIは証拠の収集と捜査を進めており、不正が確認されれば特別捜査手続きに基づく重罰が科される。マネーロンダリングの疑いでの追訴も視野に入れている。
タイ政府は南部の石油倉庫11か所を急襲し「入荷が出荷を上回る」不正を発見しているほか、海上での燃料横流しを示すTikTok動画もタイ海軍が捜査中である。今回のスラタニーの事案は、燃料危機の裏で横行する不正蓄積と横流しの実態をさらに明らかにするものである。
ベンジンの販売急減とディーゼルの急増が同一業者で同時に起きている点は、業者が利益率の高いディーゼルに集中し、ガソリンの供給を意図的に絞っていた可能性を示唆している。燃料不足に苦しむ消費者の裏で利益を最大化する構図が、捜査によって浮かび上がりつつある。


