タイ農業省が2026年度の学校給食牛乳事業について、粉ミルクの混入を全面禁止するとともに、違反業者には即時資格剥奪という厳しい罰則を適用することを決定した。この方針は農業省事務次官ウィナーロット・サップソンスック氏の議長のもとで開催された「子ども・青少年向け食品牛乳委員会」第3回会議(2026年度)で承認された。
学校給食牛乳は農業協同組合省の管轄のもと、全国の小学生を対象に毎年度実施される国家事業だ。2026年度の新学期は5月18日からスタートする予定で、それに間に合わせた形で新ガイドラインが策定された。
新ガイドラインの核心は「トータル・ソリッズ(総固形分)」の最低基準だ。生乳の品質指標として機能するこの値を11.45%以上と定め、この基準を下回る製品は出荷を禁止する。これにより低品質な粉ミルクを混入させたとしても自動的に検出できる仕組みとなる。
さらに輸送面では、牛乳を運ぶ全車両へのGPS設置が義務化された。これにより配送ルートと時間を追跡し、冷蔵管理の逸脱を監視できる。運送会社による「下請け転委託」も明示的に禁止された。品質事故が起きた際に責任の所在があいまいになることを防ぐ措置だ。
過去には粉ミルク混入問題が繰り返し報告されており、消費者・保護者からの不満が高まっていた。農業省は業者側の利益追求行動が生乳の希釈・粉ミルク混入という形で現れると判断し、「透明性を守る意志のない事業者は即座に退出させる」という強い姿勢を打ち出した。
タイ全国の小学生は約500万人で、学校給食牛乳事業の予算は年間50〜60億バーツ規模に達する。給食牛乳は農家から学校まで冷蔵チェーンで管理される必要があり、農村部では冷蔵設備の整備が課題となっている。タイの1人あたり牛乳消費量は年間約20リットルと、日本の5分の1程度だが、学校給食を通じた普及が消費拡大の基盤となっている。