タイ首都警察局のティーラデー・タマスティ副司令官は5月24日(土)、ノンタブリ県ムアン郡のプラナーンクラオ橋近くにある高級コンドミニアムを強制捜査し、AIを使ったロマンス詐欺と薬物取引の拠点を運営していたとして、23歳から35歳までのナイジェリア人6人を逮捕したと発表した。押収品は携帯電話18台、ノートパソコン3台、銀行通帳3冊、薬物取引のチャット履歴。容疑者らは「裕福な外国人のパイロット・軍人・医師」を装ったAI生成プロフィールで年配のタイ人女性に接近し、税関費用などの名目で送金を求めるロマンス詐欺で稼いでいたとみられる。4月にコカイン取引と全国23件のロマンス詐欺で逮捕された容疑者「Patrick」と関連する捜査の延長線上にある。
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プラナーンクラオ橋近くの高級コンドが「巣窟」になっていた
摘発の現場となったのはノンタブリ県の中心部、プラナーンクラオ橋にほど近い高級コンドミニアム。捜査員が踏み込むと、室内には複数の作業卓と多数の電子機器が並び、ナイジェリア人6人(23〜35歳)が滞在していた。集中的にロマンス詐欺と薬物取引の作業が行われている拠点だった様子で、立地としては比較的目立ちにくい住宅街の高級コンドが選ばれていた。
押収は携帯18台・PC 3台・通帳3冊、薬物取引のチャットも
押収された物品は携帯電話18台、ノートPC 3台、銀行通帳3冊、複数の偽身分証明書。携帯の画面には薬物取引に関する会話のスクリーンショットが残されており、コンタクトリストには既知の薬物関係者の名前もあった。詐欺用の偽プロフィールは「米軍人」「国際線パイロット」「ヨーロッパの医師」など、年配タイ人女性が信用しやすい職業設定で作り込まれていた。
AI生成プロフィールで「裕福な外国人」を装う手口
容疑者らはAI画像生成と翻訳ツールを組み合わせて、SNSやマッチングアプリで「裕福な外国人プロフェッショナル」になりすました。被害女性とチャットで信頼関係を作ったあと、「税関に商品が止まっている」「軍の任務でタイに送金できない」などの口実で送金を求めるロマンス詐欺の典型的手口。中高年のタイ人女性が主なターゲットで、被害額は1人あたり数十万から数百万バーツに上るケースが多い。
4月の「Patrick」逮捕からつながった捜査
警察によると、今回の摘発は4月にコカイン取引と全国23件のロマンス詐欺で逮捕されたナイジェリア人容疑者「Patrick」の事件に端を発する。Patrick容疑者の押収品から複数の関連者の連絡先と取引相手が浮上し、捜査範囲が拡大してきた。本サイトでもこの2週間、ノンタブリ・バンコク・パタヤで相次ぐナイジェリア人ロマンス詐欺の摘発を伝えており、Patrick関連の関係者の摘発は今後さらに広がる可能性が高い。
初動容疑は「犯罪結社」と「ビザ超過」、被害額は未公開
逮捕された6人は初動の取り調べに対し、犯罪結社への参加とビザ超過滞在を認めている。詐欺と薬物取引については追加の容疑が準備中。被害額の総額は現時点で警察から公表されていないが、押収された通帳と取引履歴の解析で被害規模が明らかになる見通し。タイ警察は、ナイジェリア人グループが運営する詐欺・薬物拠点の摘発をしばらく強化する方針を示している。