タイ王立警察報道官Trairong Phiwpan氏は5月21日、中国人武器庫事件で逮捕された中国籍31歳のSun Mingchen(ミンチェン)容疑者がタイ国内で関与した犯罪被害が、合計8億1,500万バーツ(約37億2,000万円)に上ると発表した。Sunの5つの主要銀行口座から4,143件のサイバー犯罪IDが特定され、関連する648アカウントの追跡をサイバー犯罪捜査局(CCIB)が始めた。事件は武器・爆発物・入管法違反・関税法違反・越境犯罪組織への参加・マネーロンダリングの7つの領域に整理され、押収された武器類は「タイ国内ではなく国外で使われる予定だった」ことを示す証拠も出てきている。
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5月21日の警察会見で被害総額8.15億バーツが判明
報道官Trairong氏は5月21日の会見で、ミンチェン事件の捜査進捗を説明した。被害総額8.15億バーツという数字は、Sunに紐付く5つの主要口座と、これにつながる648の関連口座、計4,143件のサイバー犯罪案件から積み上げた額になる。被害は単発の事件ではなく、長期にわたる組織犯罪の累計とみられる。
4,143件のサイバー犯罪が主要5アカウントに連動
CCIBの調べでは、Sunの5つの主要アカウントを起点に4,143件のサイバー犯罪IDがひも付き、さらに648のサテライト口座が浮上した。専属のチームを編成し、各口座の入出金履歴と被害申立てとの突き合わせを進めている。ミンチェン事件が当初の「武器庫摘発」という入口から、巨大なサイバー詐欺ネットワークの中継口座をめぐる事件に拡大していることが、今回の数字でいよいよ明確になった。
7つの犯罪領域に整理、武器はタイ国外で使用予定
捜査本部は事件を7つの領域に整理した。武器、爆発物、入管法違反、関税法違反、越境犯罪組織への参加、デジタル取引によるマネーロンダリングの6軸に、関連事件の捜査を加えた構成になる。押収された証拠から、シリアル番号を消したM4型ライフル2丁、Glock 26拳銃1丁、古いC4爆発物などは、タイ国内での使用ではなく国外で投入される計画だった可能性が示されたとTrairong氏は説明している。
「蘭天」がカンボジア拠点の幹部、陳志グループとも金融関係
捜査の焦点は、カンボジアを拠点にサイバー犯罪ネットワークを運営する幹部「Lan Tian(蘭天)」に移っている。Lan Tianに対しては逮捕状の準備が進められている。また、Lan Tianとミンチェンの間の資金の流れは、カンボジアで犯罪事件と関連が取り沙汰されているChen Zhi(陳志)氏のグループにもつながっていることが分かった。C4爆発物の調達ルートは韓国・ロシア・ミャンマーの3方面に広がっている。
関与人物は17人以上に拡大、追加令状の準備が進む
これまでに本件に関与したとされる人物は、ミンチェン本人と女性協力者1人、武器供給に関与した5人(うち公務員2人)、拳銃事件で起訴された5人、追加で取り調べを受けた6人、爆発物関連の4人など、合計17人超に達する。逮捕状が出ていないLan Tianを含めると、組織犯罪と認定された容疑者の数はさらに増える見通しで、警察は越境犯罪組織への参加とマネーロンダリングを軸に、追加の逮捕状準備を進めている。