タイの決済インフラ事業者National ITMX(NITMX)が5月21日、2026年4月のプロムペイ(PromptPay)取引データを発表した。取引件数は22.1億件(前年同月比+13%)、取引総額は4.24兆バーツ(約19兆5,000億円、前年同月比-1%)に達した。ソンクラン(タイ正月)の長期休暇期間中にも関わらず取引件数が大きく伸びており、タイ国民のデジタル決済利用が日常生活レベルで定着していることを示す統計となった。1件あたりの平均取引額は減少傾向にあり、家計消費・観光客向け小口決済の比重が高まる構造変化が浮き彫りになっている。
22.1億件の規模感
2026年4月のプロムペイ取引データの詳細は次の通り。
- 取引件数: 22.1億件(2.21 billion)
- 前年同月: 19.6億件(2024年4月)
- 件数伸び率: +13% YoY
- 取引総額: 4.24兆バーツ
- 前年同月: 4.28兆バーツ
- 総額変化: -1% YoY
- 1件平均取引額: 約1,919バーツ(前年同月比-12.6%)
22.1億件という数字をタイ国民約7,000万人で割ると、1人あたり月31.6件の利用。1日平均1件以上利用している計算で、現金決済を凌駕する利用頻度に達している。
ソンクラン中も継続稼働
2026年4月はソンクラン(タイ正月、4月13-15日)の長期休暇を含む特殊月。一般的にはビジネス取引が減少し、観光・家計消費にシフトする時期。それにも関わらずプロムペイの取引件数が前年比13%増加した点は、次の現象を示唆している。
NITMXは「プロムペイの役割が、商業取引からタイ社会の経済循環全体を支える基盤に進化している」と分析している。
NITMX(National ITMX)の役割
NITMXはタイの中央決済インフラを運営する国家機関的な企業。タイ商業銀行協会と中央銀行(BOT)の共同設立で、次の主要システムを運営している。
- プロムペイ(PromptPay): 個人間・店舗間の即時送金
- BAHTNET: 大口銀行間決済
- IBank/eCheque: 電子決済
- ITMX Cross-border: 国際送金(東南アジア圏中心)
プロムペイは2017年に導入されて以来、急速に普及。2025年末時点で登録ユーザーは5,500万人超(タイ国民の約79%)、加盟店舗約280万カ所に達している。
デジタル決済の浸透構造
タイ国内でプロムペイがここまで浸透した背景には、複数の要因がある。
- 中央銀行と商業銀行の合同推進(2017年-)
- QRコード決済による低コスト導入
- 屋台・市場など小規模事業者への展開
- 政府の各種補助金プログラム(コンラクルン・タイ助けタイ等)がPaoTangアプリ経由でプロムペイと連携
- 観光客向けの英語対応強化
- 送金手数料無料(個人間送金)




