タイ・サケオ県ワンソンブーン郡で5月16日夜、警察官のグループが中国人5人を不法に拘束し、解放と引き換えに金銭を要求していた事件が発覚した。現場制圧時に4人が逮捕され、逃走していた警部補(ร.ต.อ.)1人もその後、中央捜査局に自首している。タイ警察庁は容疑者全員を解雇する方針を示した。
事件のきっかけはパトゥムターニー県の入管警察からの通報だった。「サケオ県ワンソンブーン郡ワンマイ区Moo 1の無番地の家屋で、中国人5人が手錠をかけられ身柄を拘束されている」。サケオ県警察と入管、ワンソンブーン警察署の合同チームが現場を取り囲んだのが同日午後7時半頃。中の警察官たちは、解放と引き換えに1人30万バーツ、合計150万バーツを要求していたとされる。
押収された被害者のスマートフォンには、暗号資産の送金スリップが残っていた。2人がそれぞれ2,000米ドル、合わせて4,000米ドル(約12万バーツ)を加害者側に振り込んでいたという。送金理由はシンプルで、暴力に怯えた末の選択だった、と捜査当局はみている。
逮捕されたのは巡査部長補のパパーウィン氏(43)、同ウットコン氏(39)ほか合わせて4人と民間人1人。さらに5月21日、関与を指摘されていた警部補1人が自身から名乗り出た。警部補は巡査部長補より上の階級で、しかも階級の異なる警察官が同じ部屋で並んでやっていたとすれば、これは個人の暴走ではなく、グループでの確信犯と読むしかない。
罪状は職権を使った汚職と不法拘禁の2本柱になる見通しだ。タイ警察庁は容疑者全員に対し、刑事処分とは別に懲戒処分として解雇手続きを進めると表明している。
気になるのは、被害者が中国人だけで5人いた点だ。彼らがどういう経緯であの家屋に集められていたのか、なぜ入管経由で情報が流れてきたのか、そのあたりは続報待ち。少なくとも、警察を名乗る相手であっても身分証の提示と公的な番号(タイは191、ツーリスト窓口は1155)で裏取りを取る習慣は、ここで暮らす側にとって持っておいて損はないと感じた。


