タイ・スワンナプーム空港の自動パスポート検査機(AutoGate)2台を蹴って破壊し、職員に罵声を浴びせ殴りかかろうとした中国人男性リーウェイ容疑者に対し、タイ入国管理警察(イミグレ警察)は5月14日、ブラックリスト掲載・ビザ取消・終身入国禁止・45万バーツ(約219万円)賠償命令という極めて厳しい処分を打ち出した。前サイクル記事の事件についての判決・処分続報で、タイ警察が外国人による空港インフラ破壊に対して妥協しない姿勢を明示した形だ。
5月14日、イミグレ警察副本部長代行が処分発表
タイ入国管理警察(สตม.)の副本部長代行・チョンロン・リムパディー警視長(広報官兼任)が、5月14日に処分内容を正式発表した。事件は5月13日午後2時頃にスワンナプーム空港の出国イミグレーション・ゾーン2で発生。容疑者ナイ・リーウェイ(ZHENG LIWEI)は、自動パスポート検査機(Automated Border Control / AutoGate)を蹴って破壊した上で、職員に罵声を浴びせ抵抗した。
4つの重い処分パッケージ
タイ警察が下した処分は以下の4つの組み合わせで、外国人犯罪に対しては最も重い部類の対応だ。
- ブラックリスト掲載:タイ入国管理データベースに永久記録
- 既存ビザの取消:今回の滞在は即時無効化
- 終身入国禁止:タイへの再入国は永久にできない
- 45万バーツの賠償命令:破壊したAutoGateの修理費用
これに加えて、刑事訴追の手続きも並行して進められる。
国外退去手続きも同時進行
タイ警察は容疑者の身柄を入国管理に引き渡し、刑事訴追の手続きと並行して国外退去(送還)を進める方針だ。中国国籍の被告人で、刑事訴追が確定した後、または刑期を終えた後に、本国へ送還される流れになる。
タイの観光ブランドを守る姿勢のメッセージ
タイは観光業をGDPの2割近く支える観光立国だが、近年は外国人観光客による「不適切行為」が頻発し、観光地での治安・インフラ管理が問題視されてきた。今回のような大規模インフラ破壊事案に対して、警察が「ブラックリスト+終身入国禁止+賠償命令」という最も重い処分を即座に決定するのは、「タイは観光客に来てほしいが、迷惑行為は決して許さない」という強いメッセージだ。
在タイ日本人観光客・駐在員にとっての含意
日本人観光客が同種の事案を起こすリスクは低いが、空港インフラを尊重する基本マナーは今回の事案で改めて確認できる。AutoGateの動作が遅い、エラーが出るなどのトラブルがあった場合は、職員の指示に従って人手検査窓口に切り替えるのが正解で、機械を蹴る・叩く・職員に怒鳴るのは絶対に避けるべき行動だ。空港職員は本人を訴追する権限を持つことを、頭の片隅に置いておきたい。
タイ入国管理の今後の動き
タイ入国管理は、ビザフリー対象国を93→57カ国に絞り込み、60日ビザフリーを30日に短縮する政策を並行して進めている。今回のような事案の存在が、政策の方向性を後押しする要素にもなっている。観光客のマナー、空港インフラの保全、不法滞在の防止、テロ対策まで含めた包括的なビザ・入国管理の見直しが、今後数か月で続いていく見通しだ。