タイ首相府大臣・消費者保護局担当のスパマス・イサラパクディ氏が5月12日午後1時30分、バンコク・ラチャパオ地区のBYD Hi-ClassとOMODA & JAECOOショールームを自ら訪れ、電気自動車(EV)のラベル表示が法令に適合しているか実地検査を行った。「ラベルの記載内容と実車の仕様が異なる場合は懲役6か月+罰金10万バーツの最高刑が適用される」と警告し、タイのEV市場に対する政府の本格的な介入姿勢を示した。
検査にはプラドゥアムチャイ・ブンチャワイ大臣顧問、パッチャリン・サムシリポンス大臣事務局長、ロンナロン・プーンピパット消費者保護委員会事務局長が同行し、消費者組織の代表も立ち会った。
タイEVの三大消費者問題
政府がラベル規制の強化に動いた背景にあるのは、タイのEV市場で急増する三種類の消費者被害だ。
一つ目は「故障(ชำรุด)」で、購入後の早期故障や修理対応の遅さ、部品入手困難が相次いでいる。二つ目は「販売店廃業(ลอยแพ)」で、MG、Aion、Wulingなどの中国系ブランドの販売店が突然閉店し、保証期間中でも修理や部品調達が不能になるケースが報告されている。三つ目は「価格急落(ราคาดิ่ง)」で、購入から1〜2年でリセールバリューが購入価格の50%以下に落ち込む事例が続出している。消費者保護組織には2025年だけで数千件の苦情が寄せられた。
ラベル違反の対象となる主な記載項目
今回の検査が対象とするラベル情報は、車両性能(最高速度・加速・航続距離)、バッテリー容量(kWh・保証期間・寿命)、充電仕様(DC急速・AC普通・ポート規格)、安全装備(エアバッグ・ABS・ESC・ADAS)、原産国・組立地、モデル年式などだ。これらが実車と一致しない場合は「不当表示」として消費者保護法違反となる。
急成長するタイEV市場
タイのEV販売は2023年以降の「EV3.0」「EV3.5」補助金プログラムを機に急拡大し、2025年には国内EV販売が10万台を超えた。2026年第1四半期だけで4.5万台が売れ、BEV比率が新車販売の30%を超えている。市場を席巻するのはBYD、Great Wall、MG、Aionといった中国ブランドで、中国本国での量産・価格競争が進むほどタイ市場の価格も連動して急落する構造になっている。




