タイ入管警察が5月9日、バンコクのラムカムヘン地区にあるコンドミニアムで、中国当局が指名手配していた57歳のマネロン容疑者MR. CHEN TAO(陳濤)を逮捕した。被害額は約32.22億元(約160億バーツ、約7,840億円相当)。陳容疑者は2025年11月にPE(年金)ビザでタイに入国し、複数のダミー住居を使い分けて潜伏していた。
バンコク・ラムカムヘンのコンドミニアムで中国マネロン容疑者を逮捕
逮捕を指揮したのはタイ入管警察3課のソンポロート准将で、副本部長のチンウット警察大佐、捜査隊隊長のスリヤ警察大佐とともに捜査チームを編成していた。中国側からは「現時点で最も身柄確保したい主要容疑者」として強い要請が入っており、タイ側はそれに応える形で捜査を進めていた。逮捕はバンコク市内ラムカムヘン地区の高級コンドミニアムで実行された。
蘭州市公安部の指名手配、銀行詐欺資金32.22億元の隠匿
陳容疑者は、中国甘粛省の蘭州市公安部が発出した逮捕令状の対象だ。銀行から不正に取得した資金を、表向きは合法ビジネスを装ったダミー会社を経由させて隠匿・洗浄したとされる。被害額は約32.22億元で、タイバーツ換算で1.6万億バーツ規模。中国の経済犯罪のなかでも上位クラスの規模だ。発覚後、陳容疑者はタイへの逃亡を選択した。
PEビザで2025年11月入国、複数のダミー住居で潜伏
タイ入管警察の追跡によると、陳容疑者は2025年11月11日にPEビザ(Privilege Entry、年金・特権ビザに相当)でタイに入国していた。入国時に申告した居住地は実際の隠れ家とは異なり、潜伏のため複数のダミー住所を申告して使い分けていたという。今回の逮捕までに約半年間、バンコク内を転々としながら身を隠していた計算になる。
タイの中国当局連携、外国人潜伏地としてのバンコク
タイは長らく中国当局からの指名手配犯にとって「逃亡先候補」のひとつとされてきた。観光ビザや投資ビザで比較的容易に長期滞在でき、日系・中華系コミュニティが厚く生活上の不便も少ない。一方で、タイ入管警察と中国公安部の協力体制は近年急速に強化されており、今回の事案のように大型マネロン容疑者でも数か月から半年程度で身柄が押さえられるケースが増えている。在タイ日本人駐在員にとっては直接の生活影響は薄いが、ラムカムヘンや高級コンドミニアム街で「身元が曖昧な隣人」が発覚するリスクは現実的に存在することを示す事案だ。