タイの国家AI戦略の中核を担う企業OBON社が、米連邦検察によりNvidia搭載Supermicroサーバーの中国密輸ハブとして捜査対象となっていることがBloombergの報道で明らかになった。販売総額は25億ドル(約3,675億円)相当で、最終顧客にはAlibabaが含まれる疑いがある。元タイ首相タクシンの甥ラタナポーン氏が2024年5月までOBON CEOを務めていた経緯もあり、タイ国内では人民党のイサリヤ議員が6つの質問を提起してOBONの説明を求めている。
タイOBON社が米検察の捜査対象に、Nvidiaチップ中国密輸ハブ疑い
Bloombergの情報源によると、米検察は2026年3月にSupermicro共同創業者のヤー・シャン「ウォーリー」リャオ氏とその関連者2名を連邦起訴した文書で「Company-1」と参照される取引先を特定しており、その実体がタイのOBON社だとされる。OBONには25億ドル相当のSupermicroサーバーが販売されており、これらの一部が中国のAI最大手アリババ傘下のクラウド事業者などに流れた疑いがある。米国は中国向け先端AIチップの輸出規制を強化しており、タイ経由の迂回輸出ルートが大きな抜け穴になっている可能性が示された形だ。
米起訴状の「Company-1」がOBON、Supermicro共同創業者の起訴で関連
米起訴状ではOBONもアリババも実名は出ておらず、両社は現時点では起訴されていない。しかしBloombergとQuartz、TheNextWebなど複数の報道機関が「Company-1=OBON」と特定する報道を出した。Supermicro共同創業者の起訴自体は2026年3月に表面化したもので、その後数か月でタイ・OBON・アリババの三者がパズルのピースとして浮上してきたのが今回の局面だ。
タクシン甥ラタナポーン氏が2024年5月までOBON CEO、後にSiam AI設立
タイ国内で大きな波紋を広げているのは、OBONのCEOをかつて務めていた人物の経歴だ。元タイ首相タクシン・シナワット氏の甥にあたるラタナポーン氏は、少なくとも2024年5月までOBONのCEOを担当し、その後Siam AIを設立した。同氏は電話取材で「自分はSiam AI立ち上げ時にOBONを離れた」と説明し、米国による密輸疑惑についてのコメントは控えた。Siam AIは別途声明を出し「米輸出・再輸出規制の完全遵守」を表明している。
人民党イサリヤ議員が6質問、タイ国家AI戦略への影響
タイ国内では人民党のイサリヤ議員がOBONに対して6つの質問を提起し、タイが意図せずGPU中国転送のルートになっていないか説明を求めている。OBONは「タイ国家AI戦略の中核企業」と位置づけられた経緯があり、政府系プロジェクトの実行主体としての地位を持っていた。米国の捜査が進展すれば、タイ政府のAI戦略全体に影響が波及し、外資の対タイ投資判断にも影響する。在タイ日本人駐在員にとっても、米中ハイテク摩擦の余波がタイのデータセンター・AI関連事業に及ぶ展開として注視に値する。