タイのタクシン・チナワット元首相の仮釈放スケジュールが固まった。釈放前に刑務所内でEM電子監視装置を装着し、9月9日までの4か月間、国外渡航禁止のまま自宅で過ごす。司法省高官筋によると、仮釈放委員会の決定は最終確定済みで覆らない見込みだ。一方で政治活動への発言は禁じられておらず、与党プアタイ党の動きへの影響が注目される。
タクシン仮釈放決定、刑務所内でEM足輪を装着して9月9日まで4か月
司法省高官筋が5月9日に明らかにしたところによると、タクシン元首相の仮釈放を巡る仮釈放委員会の決定は最終確定したという。EM(電子監視)装置を4か月間装着し続けることを条件に、釈放後は自宅で生活する。EM装着期間は9月9日までで、その日が完全な刑期満了日となる。委員会は事実関係、行状、対象者の資格を法律と大臣規則に照らして詳細に審議した結果としており、決定の見直しは行わない。
法的根拠は矯正法・大臣規則、仮釈放委員会の最終決定
今回の仮釈放の根拠は、矯正法(仏暦2560年/2017年)と確定服役者の利益を定めた大臣規則(仏暦2562年/2019年)、およびその第2次改正(仏暦2564年/2021年)だ。これらの規則に基づき、刑期残僅かな受刑者で行状良好と判定された者には仮釈放が認められる仕組みになっている。タクシン氏もこの枠組みで対象となり、4か月のEM装着付き仮釈放が承認された。
クロンプレム刑務所→バンコク保護観察事務所7が担当
タクシン氏が収監されているのはバンコクのチャトゥチャック区にあるクロンプレム中央刑務所で、釈放手続きはこの所属管轄に基づいて進められる。EM装着の運用と保護観察は、バンコク保護観察事務所7が担当する。装着自体は刑務所内で実施され、その後本人が自宅に戻る運用になる。EMはGPS信号で位置情報を継続的に追跡し、保護観察事務所が逐次モニタリングする仕組みだ。
国外渡航禁止だが政治活動は可、プアタイ党と与党連立の動向に影響
EM装着期間中の主要な制約は「国外への渡航禁止」だ。一方で、政治発言や党活動への助言、メディア取材への対応は禁止項目に含まれていない。タクシン氏は与党プアタイ党の精神的支柱として広く認識されており、刑務所外で活動できる4か月間にどのような発信を行うかが、与党連立の安定性に直結する論点となる。在タイ日本人駐在員にとっても、タイ政界の動向を読み解く上で重要な4か月間に入る。