【続報】タイで赤ちゃんがベビーシッターによってすり替えられた事件で、控訴審が被告ソム(ヴィチュダ)に禁錮5年の判決を下した。被告は判決を受け入れる姿勢を見せたが、弁護士は再度の保釈を申請した。実母ジョイさんは「まだ被告は真実を語っていない」と訴え、実子の行方は今も不明のままだ。
控訴審がソム被告に禁錮5年、弁護士は再保釈申請
ベビーシッターのソム(ヴィチュダ)被告に対し、控訴審は禁錮5年の判決を下した。被告は一審で有罪判決を受けて保釈中だったが、控訴審で結論が出た形だ。弁護士はさらに上告するため再度の保釈を申請した。被告本人は今回の判決については諦めた様子で「受け入れる」と答えている。事件の発端から見ると、生後5か月で「ミャンマー人の隣人に預けた」と説明された幼子をすり替えられた実母にとっては、刑事処罰の決着がついた一方で実子は依然として戻っていない。
姉は「妹が子供を売るはずない」と否定、家族の温度差
判決後、ソム被告の姉はメディアに対し「妹がそんなこと、子供を売るようなことをするはずがない」と妹の関与を強く否定した。家族内でも妹の行動について理解できない様子で、被告本人がどこまで意識的に関わっていたのか、誰の指示で動いていたのかは依然はっきりしない。実母ジョイさんは取材に対して「妹は今も真実を全部は話していない」と語り、判決確定までの段階で語られていない情報があると見ている。
実子の行方は依然不明、警察と財団の追跡が継続
ジョイさんの実子は、生後5か月で別の赤ちゃんとすり替えられたまま行方不明の状態が続いている。「ミャンマー人の隣人ワン」という人物に預けたとされているが、その人物の所在や、実子の現在の保護者が誰なのかも分かっていない。パーウィーナー子ども女性財団とパタヤのバンラムン警察署は引き続き捜索を続けているが、判決から1年以上が経つ事件の手がかりは細く、ジョイさんは実子の写真と最後の対面の記憶だけを頼りに待つ日々を送っている。
タイの児童すり替え事件、刑事処罰では取り戻せない子供
今回の事件は、タイで「貸し口座詐欺」「ノミニー会社」「コールセンター詐欺」と並ぶ、低所得層を狙った組織化された犯罪の一面を見せている。家計が苦しいシングルマザーが信頼できそうな知人にベビーシッターを頼み、その間に養子斡旋などの闇ルートに子供が流れる構図だ。在タイ日本人駐在員家庭でも、メイドや保育補助を雇う際は紹介経路、身分証コピー、緊急連絡先、契約書面の整備が欠かせない。被告に5年の懲役が下ったところで、奪われた子の行方が分からなければ家族の傷は癒えない。