タイ・チャチェンサオ県バンナンプリアウ郡プロンアカート町のプロンアカート寺で2026年5月6日、家族で魚への餌やり(タイの放生・寄進文化の一形態)に訪れた男性が、自分で買った餌1袋を持参したことで現場の管理人男性に強い口調で叱責される動画がSNSで拡散し、地域でちょっとした騒動になっている。寺による餌販売・寄進システムと、訪問者の自由意志の摩擦が浮き彫りになった事例として、タイ国内でも議論を呼んでいる。
動画を投稿したのはスパナット氏(31)。仏像売買業を営み、自宅近くにあるこの寺院に毎月家族で参拝・魚餌やりに通う常連だ。スパナット氏の証言によれば、5月6日午後にプロンアカート寺を訪れた際、寺で販売される餌の量では池にいる多数の魚に十分でないと感じ、別途自分で300バーツ超の魚餌1袋を購入して持ち込んだ。普段は餌やりを行う場所が別にあるが、その場所が寺の建設工事のため迂回せざるを得ず、今回の餌やり地点(寄進ボックスのある桟橋)で餌をやろうとしたところ、現場を管理する男性に対応された。
動画では、桟橋に座った高齢の管理人が強い口調で発言する様子が映る。スパナット氏は撮影された動画とともに、寺院または地方当局による現場運用の整理と改善を求める声を上げた。チャチェンサオの地元紙khaosodの記者が5月6日午後に現場を確認した時点では、当該の管理人は不在。動画に映った10バーツ硬貨自販機(餌販売用)は布が外され開いた状態で、餌をすくう器具と空き缶が置かれていたが、テーブル上の魚餌は全て撤去済み。20バーツの寄進ボックスは管理人が座っていた位置に残っていた。
タイの寺の池で行う「魚への餌やり」は、放生(プローイ・パラー)に近い功徳行為で、寺院は敷地内の桟橋・橋の周辺に餌の自販機や寄進ボックスを設置し、訪問者が10〜20バーツを入れて少量の餌を取り、池の魚に与える運用が一般的。多くの寺で餌の収益は維持運営費に充てられ、寺院財政を支える小さな柱の一つとなっている。プロンアカート寺はガネーシャ像で知られ、48ライの敷地に1995年から建立が進んだ寺院で、観光客にも人気がある。
訪問者側の心情としては、池の魚の数に対し寺で売る餌の量が少ないと感じ「もっと食べさせたい」と思って外で餌を買うのは自然だ。一方で寺・管理人側からすれば、寺の収益源である餌販売を素通りされ、自前持参の大量の餌で池の水質や魚の体調に影響が出る可能性もあり、嫌がられる構造がある。SNSコメント欄でも「自分で持ってくる方が餌量を増やせて魚にとって良い」「寺の運営収入を尊重すべき」と意見は割れている。
タイの寺院を訪れる在タイ日本人や旅行者にとっては、魚への餌やりは観光体験のひとつだが、「外で買って持ち込む」のは寺院の運営方針上ほぼ確実に歓迎されない行為と覚えておいた方がトラブル回避になる。寄進ボックスの料金で餌を取るのが暗黙のルールで、より多く与えたければ複数回に分けて寄進する方が穏当だ。寺院ごとに敷地内ルールは異なるため、餌やり場所の指定看板や受付に確認するひと手間が、思わぬ叱責を避ける近道になる。