タイ・パタヤ南エリアにある無許可営業のナイトクラブ「Vegas Exclusive Club」で2026年5月7日早朝、39歳の中国人観光客の男性が他客との口論をきっかけに集団暴行を受け、現場で死亡する事件が起きた。アヌティン首相が外国人観光客の不品行に対する厳格対応を指示した翌日のタイミングで、観光地の治安と無許可営業の管理体制の双方に厳しい目が向けられている。
警察発表によると、被害者の中国人男性は店内でビリヤードをしていた際、チョーク(キュー先の滑り止め)を求めた後、他の客が使っていたVIPテーブルに飛び乗ったとされる。この行動が原因でグループ間の口論が発生し、いったん収まりかけたものの、二度目の言い争いの中で集団による暴行が始まり、男性は床に倒れた。複数の客が騒ぎを目撃しており、その後CCTV映像の鑑識が進められている。
被害者は顔面の外傷、左目の腫脹、唇の損傷、全身の打撲が確認された。現場で蘇生処置が施され、医療機関へ搬送されたが間もなく死亡が宣告された。司法解剖が予定され、正確な死因と暴行行為との因果関係が調べられる。被害者の身元は5月7日時点で公表されていない。
加害者側は集団による犯行で、警察到着前に複数の外国人客とともに現場から逃走しており、国籍は確定していない。捜査はパタヤ市警察、チョンブリ県警察、警察地方総監部第2の3層構造で進められ、チョンブリ県知事は無許可営業のVegas Exclusive Clubに対する営業停止勧告を準備している。
パタヤ南は外国人客の多いエンタメエリアの一角で、深夜営業の店が密集する。今回の現場が無許可営業だった点は、店側のセキュリティ運用やCCTVの保守状況、客の身元確認の不在など、適正営業の店では避けられたはずのリスクが構造的に積み上がっていたことを示す。
アヌティン首相が観光客の不品行に対する厳格対応を打ち出した翌日に、観光客が暴行死する事件が起きたことで、政策方針と現場の治安対応のずれを問う声が再燃する可能性がある。今回の被害は外国人観光客同士の摩擦が発端であり、首相方針の中心テーマである「タイ社会のイメージ毀損」よりも一歩深い、観光客の安全そのものが脅かされる類型に当たる。
在タイ日本人や旅行者にとっては、パタヤ南エリアの深夜営業店、特にライセンス表示が曖昧な店舗での飲酒・ビリヤード等の利用にこれまで以上の警戒が必要となる。深夜の無許可店は警察の介入が遅れがちで、トラブル発生時に逃げ込む先がない。Grabの営業時間と動線を事前に確認し、口論の気配があれば即離脱する判断が安全につながる。