カンチャナブリー県ラートニャー郡ラートニャー村で2026年5月6日夜7時20分、元義父が3年前に離婚した元妻の家族に対して銃乱射事件を起こした。報告によると、元義理の母(54歳・サリニー)が頭部と右肩を銃撃されて重傷、義弟(32歳・サッタヤー)が胸に2発を受けて重傷となった。元義理の父はその場で抵抗し、犯人から銃を奪おうとしたが逆に撃たれて後に死亡した。
犯人は2025年末に離婚が成立した後、元妻の実家に侵入した疑いがある。「逃げたい」と訴える人物を警察が追跡しているが、2026年5月6日時点で身柄確保には至っていない。事件は警察の緊急通報を受けてカーウィラーン地区病院の救急チームと防衛財団が現場に急行した。
離婚後の元配偶者による暴力事件はタイでも毎年多発している。タイ女性開発財団(TFF)の2024年年次報告では、家庭内暴力の被害届件数は年間2〜3万件で、実際の被害件数はその数倍に及ぶと推定されている。特に離婚後の「セパレーション・バイオレンス」(別居・離婚後に激化する暴力)は見逃されやすく、司法的な保護命令制度の活用が普及していない。
タイでは民事・刑事とも「家庭内の問題」として処理が遅れることが多いという批判が長年続いている。2007年施行の家庭内暴力防止法(DTPA)では加害者への裁判所命令・接近禁止令などが規定されているが、農村部では制度の認知が低く、被害者が助けを求めにくい環境が残る。
元義理家族への銃撃という今回の事件は、離婚後の報復的暴力がいかに周囲を巻き込みうるかを示している。タイの民間人の銃器保有率は公式統計では人口比約5〜6%だが(国連ODC)、非公式な未登録銃器を含めると実態はさらに高いとされる。
