タイ北部で芸能人を弟子に持つほどの知名度を誇る占い師が、「業(カルマ)を解く」儀式と称して32歳のビジネスマンを性的虐待した疑いで告発される事件が表面化した。被害男性は5月6日午後、バンコク・サイマイ区のサイマイ救済ページにおいて告訴の意向を表明し、5月7日に警察犯罪捜査班(กองปราบ)へ正式告訴する予定である。
告発を行ったのはエー氏(32歳)というビジネスマンで、サイマイ救済ページの創設者エカパップ・リアンプラッスート氏に直接苦情を申し立てた。サイマイ救済ページは社会問題の被害者支援で広く知られる存在で、被害者が公的告訴に踏み切る前段階の窓口として機能している。
被害者がこの占い師を訪れたきっかけは、長期間にわたって苦しんでいた「クラスター頭痛」という慢性疼痛だった。クラスター頭痛は片頭痛をはるかに上回る激しい痛みを伴う神経疾患の一種で、現代医療でも治療が難しいことで知られる。被害者は複数の医療機関を受診したが症状が改善せず、家族にも深刻な影響を与えていた。
被害者の母親は息子の長期的な苦痛を見かねて、ソーシャルメディアで自身がフォローしていた北部の有名占い師を息子に紹介した。この占い師は天国と地獄の双方と通信できる、業の主神(เจ้ากรรมนายเวร)を視覚的にスキャンする超常能力を持つと自称しており、芸能人を含む多くの弟子を抱えていた。母親は霊的な力で頭痛が癒えることを期待して受診を勧めたという。
ところが治療として行われた儀式は、被害者の供述によれば、性的虐待を伴う行為だった。「業を解く」「病を治す」を理由に、占い師による性的接触が計3回に及んだという。VIP予約という形で時間と空間を確保したうえで儀式を行うパターンが定着しており、外部から介入しにくい構造になっていた。被害者は5月7日に警察犯罪捜査班へ正式に告訴し、占い師の立件と他の被害者の名乗り出を促す方針である。タイ国内では霊能者や占い師による「業」を口実とした性的・金銭的な被害が繰り返し発覚しており、信頼の高い人物に頼る家族の心情を悪用するパターンへの警戒が改めて求められている。