バンコクのスクムビット50通りで2026年5月5日夜、氷麻薬(メタンフェタミン)の幻覚で「人に襲われる」と思い込んだ50歳の男が、通行する住民の車に木材を投げつける事件が起きた。首都警察捜査3課が翌6日に身柄を確保し、プラカノン警察署で違法薬物使用容疑により立件した。
逮捕されたのはスラサック容疑者(50)、通称コー。捜査関係者によれば、5月5日午後10時19分ごろ、スクムビット50通りに突如現れて、近くを通った住民の車両めがけて木材を繰り返し投擲した。容疑者は当時、強い幻覚状態にあり、「誰かが自分を襲いに来ている」との思い込みから攻撃に及んだとされる。
通報を受けた首都警察(バンコク都警察)は、スイヤム・ブンソム首都警察総監、パンラップ・エームラー副総監、チョーティワット捜査局長らが指揮する捜査3課に追跡を指示。容疑者は5月6日に身柄を確保され、プラカノン警察署に送致された。容疑は薬物管理法における第1類違法薬物(メタンフェタミン=俗称ヤーバー、氷)の違法使用。
スクムビット50通りは、エカマイとオンヌットの間に位置する住宅エリアの一角で、コンドミニアムや一戸建てが密集する。トンロー・エカマイから離れた静かな住宅地として在タイ日本人にも住居エリアとして選ばれてきた区画で、深夜の幻覚行為により住民の車両が標的になった点は地域全体の不安要素となる。
タイでは氷麻薬(メタンフェタミン高濃度結晶)とヤーバー(錠剤型メタンフェタミン)が乱用薬物の主流で、特にヤーバーは1錠数十バーツ単位で流通している現実がある。今回のような50代の男性による単独幻覚行動は、若年層中心と思われがちな薬物使用の実態が広い年齢層に及んでいることを示す事案と言える。プラカノン警察署管内では、過去にも氷麻薬使用者が幻覚で警察に発砲するなど、住民を巻き込む事件が散発している。
在タイ日本人がスクムビット50周辺で深夜に車を運転する場面は珍しくない。コンドミニアムから車を出した瞬間に物が飛んで来るタイプの想定外攻撃は防ぎようがないが、車載ドライブレコーダーの記録は今回のような事件で被害立証や保険対応の決定的証拠になる。発生時は走行を継続して安全な場所に退避し、観光警察1155番か地元警察への通報を急ぐ判断が安全だ。