タイのアヌティン・チャルンビラクル首相は5月6日、観光客による公然わいせつや薬物使用などの不適切な行為に対し、法律の厳格な適用を命じた。プーケットやパタヤで相次ぐ外国人カップルの公然性行為動画拡散を受けた措置で、即時国外退去と再入国禁止のブラックリスト登録が標準対応になる。
副政府報道官プロイタレイ・ラックスミサンチャン氏が発表した内容によれば、首相は内務相を兼ねる立場から各地の警察と入国管理局に対し、観光客の不適切行為について「例外なく法律に従って厳格に訴追せよ」と指示した。とりわけタイの文化的価値観に反する行為と薬物関連行為は重点対象とされる。
背景には4月から5月にかけて連続的にSNSで拡散された事案がある。パタヤ湾では8人の外国人観光客が深夜のビーチで公然性行為に及ぶ動画が地元から強い批判を受けた。プーケットではトゥクトゥクから下半身を露出した外国人女性観光客の動画も炎上し、その後に走行中のトゥクトゥク内で性行為に及んだスペイン人男性41歳とペルー人女性43歳がプーケット警察の調べに容疑を認め国外退去となった。プーケットのビーチで性行為動画が拡散したフランス人カップルも、逮捕後にブラックリスト処分を受けている。
入管警察の運用としては、不適切行為で摘発された外国人の滞在許可を即座に取り消し、ブラックリストに登録した上で国外退去とする。再入国は禁止。首相は併せて娯楽施設への監視強化も指示した。
タイ政府は2026年の外国人観光客を3,350万人と見込むが、4月の入国者数は前年比7%減と振るわない。観光収入で経済を回す国にとって治安・秩序のイメージ低下は致命的で、首相の今回の指示は観光業界からの強い要望に応える形でもある。
在タイ日本人や旅行者にとっても、これまでの感覚で「軽い注意で済む」と考えると痛い目を見る局面に入った。撮影とSNS拡散が常態化したことで、酔いやノリでの公然行為は短時間で全国規模の事件に化け、入国記録に永続的な傷を残す。観光警察1155番への通報経路を含めて、環境は大きく変わっている。