タイ南部パンガー県のシミラン国立公園内にある「アオクアック」(Ao Khueak、別名ドナルドダック湾)が、2026年4月29日に発表された旅行専門家1,000人投票の「World's 50 Best Beaches 2026」で世界第10位にランクインした。タイから合計3か所のビーチが世界トップ50に選出されており、観光大国としての地位を改めて世界に示す結果となった。
アオクアックは、ムー・コー・シミラン国立公園の主要島であるシミラン島8番(Koh Similan No. 8)の北端に位置する小さな入江だ。最大の特徴は、ビーチを取り囲む巨大な花崗岩の岩で、その形状がディズニーの古典キャラクター「ドナルドダック」の頭部に似ていることから「ドナルドダック湾」と呼ばれるようになった。アンダマン海の透明度の高い水と相まって、世界の旅行写真家・SNSインフルエンサーの撮影スポットとして長年人気を保ってきた。
シーズンは毎年11月から翌年5月の乾季がオープン期間で、6月から10月のモンスーン季節は国立公園が閉鎖される。閉鎖期間を設けることで、サンゴ礁・海洋生物・植生の自然回復を促す保全方針が、ビーチの美しさを保つ秘訣となっている。スノーケリング・ダイビングは特に人気のアクティビティで、近年はカクレクマノミ・ウミガメ・ナポレオンフィッシュとの遭遇率が高く、世界の海洋愛好家の聖地として認知されている。
「World's 50 Best Beaches」は、世界の旅行ジャーナリスト・写真家・スキューバ事業者など1,000人の専門家投票で決まる権威ある選出制度。2024年から始まった比較的新しいランキングだが、Times、Globe and Mail、Men's Journalなど世界の大手メディアが取り上げ、観光地ブランディングの新たな国際指標として影響力を増している。2026年の選出で1位は欧州の地中海沿岸が獲得した。
タイの3か所選出は、フィリピン・インドネシアと並ぶ東南アジアの「ビーチ大国」としての地位を再確認する結果だ。同じパンガー県にはピーピー諸島やプーケット周辺の有名ビーチも存在し、地域全体としての観光商品力の高さが評価された形になる。タイ国観光庁(TAT)は2025-2026シーズンのプロモーション強化材料として活用する方針だ。
在タイ日本人にとっての関連は、週末・連休のリゾート選択肢として極めて魅力的な提案となる。バンコクからプーケット・パンガーへの国内線はThai AirAsiaが5-6月便を30%減便など便数縮小の動きはあるが、シミラン島ツアーは引き続きカオラック発・ピピ発の日帰り・1泊2日プランで利用可能だ。シーズンが5月末で終わるため、訪問希望者は早めの予約が肝心となる。タイの観光業全体が60年来最高の外資投資記録を達成する流れの中、観光・テック・農業の3分野が経済を牽引する構造が明確になっている。