タイ労働省のジュラポン・アモンウィワット労働相が2026年5月4日、雇用局に対して全国体制での外国人就労検査を強化するよう命令を出した。直接の発端となったのは、5月1日にスラタニ県のパンガン島でイラン人夫妻が運営する違法学校が摘発され、イスラエル児童89人と教員6人を含むタイ人と外国人計9人が逮捕された事件だ。許可外労働や無許可労働への取り締まりを大幅に強化し、雇用主側の再犯には禁固刑を含む厳罰を科す方針が示された。
ジュラポン労働相は今回の指示で、雇用局長に対しスラタニ県雇用局を現地に派遣して事実関係を緊急調査させると同時に、雇用局が中央・地方の組織と連携して全国に「絨毯爆撃式」の予防的検査を展開するよう求めた。検査・取締・告訴を厳格に進めながら、雇用主・事業所・外国人労働者への法令周知と理解啓発も並行する。
ソムチャイ・モラコサシワン雇用局長は労働相の指示を受け、全国の県雇用局およびバンコク雇用局1〜10管区に対して、許可外労働や無許可労働の外国人への現地検査を即時開始することを命令。安全保障上要監視となっている国籍に対しては、就労許可申請の審査をさらに厳格化する。違反者への取り締まり、逮捕、訴追は重点エリアでより集中的に行われる。
罰則の枠組みは次の通り。許可なく就労する/許可された権限の範囲を超えて働く外国人は、罰金5,000〜50,000バーツに加えて出身国への送還、さらに罰則受領日から2年間は就労許可申請が禁止される。雇用主・事業所側は、無許可外国人を雇った場合、または許可範囲外の業務をさせた場合、外国人1人あたり10,000〜100,000バーツの罰金が科される。再犯時は1年以下の禁固刑または1人あたり50,000〜200,000バーツの罰金、加えて3年間の外国人雇用禁止という重い処分となる。
在タイ日本人ビジネスへの直接的な影響は3点ある。第1に駐在員のNon-immigrant Bビザ+ワークパーミット(就労許可)の遵守確認が不可欠。「ビザはあるが就労許可が許可業務範囲外」というケースは罰則対象になりうる。第2に日本企業の現地法人が雇用するタイ人以外の外国人スタッフ(韓国人通訳、中国人技術者、欧米人マネージャー等)の許可状況を再点検すべき時期だ。第3に駐在員家族の労働活動(ボランティア、SNS収益化、副業など)が無許可労働とみなされるリスクへの注意が必要となる。
並行して、政府は商務省による外国人ノミニー(名義貸し)取締強化・ビザ免除制度の縮小提案も並行して進めており、外国人の入国・滞在・就労・事業展開のすべての段階で規制強化を進める方針が鮮明になっている。在タイ日本人コミュニティと日本企業のタイ拠点は、自社の合法性を改めて点検する時期に入った。違法者の通報は労働省雇用登記保護局(電話: ホットライン1506)または各県雇用局に連絡できる。