タイ外務省が検討中の新ビザ政策の詳細が明らかになりつつある。Thai Examinerが2026年5月3日に伝えたところによると、2024年7月から実施されている60日ビザフリー入国(93カ国対象)を廃止して57カ国向け30日(+30日延長可能)の従来枠組みに戻す一方、中国との二国間ビザフリー協定は維持し、合計58目的地に縮小される見通しだ。インドはビザ申請が必要となる可能性が高い。
タイは2024年7月から世界93カ国向けに60日のビザフリー入国を解禁し、観光誘致の柱としてきた。しかし長期滞在の観光特権悪用、越境犯罪、違法ビジネス目的の入国が増加し、当局は4月以降に60日免税入国を全廃して124カ国に査証義務化する観光相方針を打ち出した後、続く議論で57カ国30日への縮小提案へ修正されてきた経緯がある。今回の続報はその追加展開である。
新方針の中核は3点。第1に57カ国の対象国は欧米先進国を中心とした2024年以前の枠組みに戻る。第2に中国との二国間ビザフリー協定は2024年3月1日付の有効性を維持し、57カ国+中国の計58目的地が30日ビザフリー対象となる。第3にインドは現行のビザフリーアクセスを失う可能性が高く、観光・出張ともにビザ申請手続きが必要に戻る見通しだ。
日本国籍者の取扱いは記事内に明示されておらず、現時点では確定情報がない。日本はタイの伝統的なビザフリー対象国の主要メンバー(2024年以前から30日ビザフリー対象)であり、新57カ国リストに含まれる可能性が高い。ただし正式リストの公表前は推測の域を出ないため、内閣決定後の外務省公式発表を待つ必要がある。
実施時期はまだ未定で、外務省は内閣最終承認の準備を続けている段階。「近い将来」の決定が見込まれているが、具体的な施行日は明示されていない。
在タイ日本人にとっての関連は次の通り。第1に駐在員・長期滞在者は対象外(駐在員はNon-immigrant Bビザ等の別カテゴリー)で直接の影響はない。第2に日本からの観光客・短期出張者・家族訪問者の滞在期間が大きく短縮される可能性があり、現在の60日上限に依拠している長期滞在計画(連続休暇・複数都市周遊・チェンマイ滞在等)は30日基準で再設計が必要となる。第3に日本企業のタイ拠点が招請する短期出張者・本社派遣のビジネス渡航者は、ビザ申請プロセス(東京・大阪のタイ大使館・領事館手続き)が再び必要となる可能性がある。
なお、タイは並行して国民の海外渡航に1,000バーツ出国手数料を検討し、年最大100億バーツを国内観光助成に充てる方針も打ち出している。観光収入の量から質への転換、長期滞在の管理強化、財政基盤の安定化を一体で進める政策パッケージとして、今後の内閣審議が注目される。