2026年4月27日、タイ中部のアユタヤ県ラドブアルアン郡プラヤーバンルー区で、ビッグバイクに乗った35歳の男が覚醒剤による錯乱状態のまま暴走し、転倒後に起き上がって拳銃を乱射する事件が発生した。流れ弾は通行中の車に当たり、教師として勤めていた44歳の女性が、車に同乗していた子の眼前で命を落とした。
被害者はワット・スカンタラム小学校(スカンタワッタヤカーン校、ワンノーイ郡)の女性教師パパッサラ・ルアンリッさん(44)。ちょうど教員として正式採用されてから4年目を迎えたところで、現場を移動中の車内に居合わせて被弾したという。被害者の子の前で母親が亡くなったことが、地元タイ社会に強い衝撃を与えている。
容疑者はサラウット・ムアンチンダ氏(35)。バイクが転倒したあと突然立ち上がり、近くの一般車両に向けて発砲を続けた。撃たれた車だけでも7台に達し、現場では警察がヤーバー(覚醒剤)3錠も押収した。容疑者は事情聴取で「薬の幻覚だった」と説明したと現地メディアは報じている。
容疑者は銃刀法違反(無許可所持・公共の場所での発砲)、第1類麻薬所持、殺人、殺人未遂など複数の罪で逮捕された。私服警官を含む警備態勢で身柄が留置施設に運ばれ、現場検証は本人を出さず別途行う方針だという。これは住民による報復を警戒した措置と現地報道は伝えている。
事件を受け、教育相のプラセート・ジャンタラルアントーン氏は2026年4月28日、政府庁舎で「タイ社会で起きてはならない衝撃的な出来事」と述べた。教育省として家族への弔意を表したうえで、捜査を緊密に追跡し、補償措置を権利の範囲で最大限適用する方針を明らかにした。教育次官には前日のうちに葬儀参列と初期支援を指示済みである。日本の感覚では「ビッグバイクで暴走した薬物使用者が拳銃を乱射する」状況自体が想像の外側にあるが、タイでは大型バイクとヤーバーを掛け合わせた事件が一定の頻度で起きており、女性教師の死は薬物問題と銃所持の両方に再び目を向ける契機となっている。