タイ中小企業振興庁(OSMEP / สสว.)が22日、国内の中小企業(SME)に対して強い警告を発した。3月の「SME信頼指数(SMESI)」が5ヶ月ぶりに判断基準値の50を割り込み48.2まで落ち込み、このままの経済環境が続けば「20%のSMEは3ヶ月、80%は6ヶ月持たずに事業継続が困難になる」と見ている。
発表したのはパニター・シナワット副局長(長官代理)。彼女はサマサムトル首相の血縁ではないが、タイ財界でよく知られる名前を持つ官僚だ。指数低下の主因として挙げたのが、中東の軍事情勢から波及した燃料費と輸送費の「両サイドからの圧迫」だ。
指数の内訳を見ると、利益見通しは47.7、コスト負担は37.3(前月比で5.2ポイント低下)と、経営者が感じるコストプレッシャーの強さが明確だ。受注の勢いを示す指数は前月比+6.4、生産量は+1.8とわずかに上向いた項目はあるが、コスト上昇を吸収しきれないSMEが連鎖的に出てくる構図がはっきり見える。
OSMEPの調査では、SMEの96.7%が中東情勢の影響を直接受けていると回答しており、特に運送業、製造業、飲食業、小売業で経営者の悲観度が高い。燃料費は過去1年で20-30%、海運物流費もバンコク港着でコンテナあたり数千バーツ単位で上乗せされており、仕入れ値の高止まりが同時進行する。
雇用指数は49.2と前月比-0.3にとどまった。SMEの経営者の多くは、人員削減よりも先に経営者個人のボーナス・報酬カットで乗り切ろうとしている。しかし、6ヶ月以上この状態が続けば、固定費の削減に手を付けざるを得ず、雇用面の数字は後追いで悪化する見通しだ。
OSMEPは2569年度(2026会計年度)の緊急救済計画を理事会に上程する。柱は低金利の運転資金ローン、電気代・物流費の補助、デジタル化による省力投資の税優遇などで、4月末の会合での承認を目指している。
タイ駐在の日本企業にも、この数字は他人事ではない。サプライヤーとしてのSMEが連鎖倒産すれば、日本企業の現地生産・調達計画にも欠品リスクが波及する。特に中小の部品メーカーや加工業者を多く抱える東部経済回廊(EEC)周辺では、次の6ヶ月でサプライヤーの体力がどこまで続くか、個別のモニタリングが現実の課題となっている。