プーケット移民局長のケマチャット・ワッタナパケーセム警視正は4月22日、プーケットでコンドミニアム所有者と高級物件の長期賃借者を対象とする新しい1年ビザスキームが運用開始されたと確認した。外国人居住者の滞在選択肢を拡大する試験的プログラムで、更新可能なため事実上の長期滞在手段として機能する。
ビザの申請要件は明確である。コンドミニアムを購入する場合は最低300万バーツ、賃貸する場合は月額85,000バーツ以上の物件が対象となる。賃貸の場合、ビザ期間分の家賃を前払いする必要がある。対象物件はコンドミニアムのほか、戸建て、土地付き物件の賃貸契約も含まれる。いずれも49%外国人所有制限ルールは順守される。
申請プロセスは多段階の審査となる。まず地方の不動産登記所で所有権と資金の書類を確認し、次に土地局が書類を審査、最後に移民局が最終審査を行う。全ての手続きは観光庁(TAT)公認の代理店を経由する必要があり、個人が直接移民局に持ち込む形式ではない。労働許可は付帯せず、就労する場合は別途ワークパーミットが必要となる。
ビザ保持者にも通常の移民規則が適用される。90日ごとの住所報告は義務で、違反すればビザ取り消しのリスクがある。延長のたびに書類審査と不動産の現状確認が行われるため、形式的にビザを保持するだけでは維持が難しい設計となっている。
政治的には反発も根強い。2025年10月から地元経済団体と地域住民組織が反対を表明しており、2月の総選挙前にも複数の大臣が公に慎重姿勢を示していた。批判の中心は、ビザ制度を使った短期観光客への転貸(エアビー的運用)でホテル規制を回避する恐れ、未登録の外国人事業が拡大するリスクにある。
現段階ではプーケット限定のパイロット運用で、結果を踏まえて全国展開するかが今後の焦点となる。先に外国人がプーケットで5,600万バーツの家を購入し「世界所得0%税」を誇示し炎上した件と重なる形で、「外国人富裕層の囲い込み」がタイ社会内で議論される局面に入っている。
在タイ日本人にとっては、すでにプーケットに別荘を所有している層や、月10万バーツ近い賃貸に住む長期滞在者にとって新たな選択肢となる。一方で、ビザエージェントへの委託コスト、90日報告の手間、転貸監視の強化などを踏まえると、既存のEliteビザ・LTRビザ・ノンBビザとのメリット比較が必須である。タックス・不動産・移民法の専門家への相談を挟むことが、失敗しない選び方の基本となる。