プーケット県バンタオビーチで外国人が5,600万バーツの高級住宅をフリーホールド(完全所有権)で購入し、さらに「LTRビザの特典で世界所得への税金はゼロ」とSNSで誇示したことが、タイ国内で炎上している。ブライトTVが4月21日に報じた話で、税の公平性をめぐって国民の反発が強まっている。
問題の外国人は、タイ政府が導入した「LTRビザ(Long-Term Resident Visa)」の「Wealthy Global Citizen(世界の富裕市民)」カテゴリを根拠に、世界各地の所得に対してタイでの課税が0%になると主張した。加えて「タイにいくら長く居てもいい」「世界レベルの富裕層の特権」などと、SNS投稿で強調している。
LTRビザのWealthy Global Citizen枠は、申請時の要件として最低資産100万米ドル(約36百万バーツ)、年収8万米ドル以上、タイ国内への50万米ドル以上の投資を求めている。要件をクリアすれば10年有効で、家族帯同も可能。タイ外の所得については、実際に一定の非課税・軽減措置が用意されており、外国人の富裕層を誘致する政策として設計された。
一方で「0%税」という主張は、タイ国内外の課税ルールを簡素化しすぎた表現でもある。タイ税法上、国外所得は送金のタイミングや納税地の扱いで課税の可否が分かれ、すべてが自動的に非課税になるわけではない。ブライトTVの報道でも、ネット上で「関係当局が制度の実態を明確に説明すべき」との声が多数上がっていると伝えている。
タイ国民側から見ると、VATの7%→10%引き上げ議論や5000億バーツ借入政令の検討が進む中で、「富裕な外国人だけが税金ゼロ」と受け取れる発言は強い反発を生みやすい。先に報じたNESDCが「VAT 10%引上げは時期尚早」と指摘した議論とも、公平感という論点で直結している。
在タイ日本人の居住設計にとっても、この騒動は他人事ではない。LTRビザのWealthy Pensioner、Work-from-Thailand、Highly-Skilled Professionalなど複数の枠組みが存在し、それぞれ税制メリットの範囲と条件が異なる。SNSで見かける「タイは税金ゼロ」系の発信は、制度の一部を切り取った表現であることが多く、実際の納税判断は税理士と税務当局の見解に沿って行うのが無難である。