タイ東北部ブリラム県プラコーンチャイ郡の村で22日午後2時半ごろ、64歳の男性プラティープさんが鳥撃ち用に自作改造したキャップ銃(火縄銃に似た旧式の発火銃)の発射時に自分の額を撃ち抜き、家の脇で倒れて死亡しているのが見つかった。死因はまだ正式には判明していないが、足の指で引き金を引く改造の痕跡が残された銃を抱えたままの姿が、地元警察とレスキュー隊員の目に焼き付いた。
現場は同郡6村のブロック作りの平屋住宅。プラコーンチャイ警察署のキッティサック巡査警部補(捜査担当)がサワーン・チャンヤータム救助隊と現場に到着したところ、家の側庭に仰向けで倒れたプラティープさんが、長い銃身のキャップ銃を両手でしっかり抱え込む形で発見された。額には銃弾が埋まった痕跡がはっきり見えたという。
銃には特徴的な改造が施されていた。引き金の部分には竹の棒が継ぎ足され、足の指で押して撃てるようにしてあった。見慣れない形だが、現地の猟師の間では両手を銃身に添えたまま弾を素早く発射できる裏技として知られている工夫だ。
妻のタンヤラットさん(58)によると、プラティープさんは稲作シーズンが終わると牛や水牛の世話をする一方、趣味として鳥や魚を撃ちに出かけるのが日常だった。キャップ銃を自分で分解し、部品を交換したり細工を加えたりするのが好きで、近所の人たちから「村の銃の達人」と呼ばれていた。パーム椰子に登って樹液から糖を取る仕事もこなす、多能な働き者でもあったという。
事故が起きたとされる22日13時すぎ、妻は近所の親戚宅に世間話に出かけていた。しばらくして「パンッ」と銃声が一発聞こえたが、夫の日課の鳥撃ちだと思って気にとめなかった。その後、家に戻ると夫が動かなくなっていた、と声を震わせながら証言した。
警察は現場の状況から、改造した足トリガーを押した際に銃口が自分の額に向くポジションだった可能性、または弾が逆流する形で発射された可能性などを複数の角度から検証している。銃の機構が十分に安全設計されていないキャップ銃の自作改造は、タイの地方ではいまも珍しくない。
タイ東北部や北部の農村では、田畑の周りで鳥や小動物を追い払うために、猟銃ではなく旧式のキャップ銃を改造して使い続ける文化が残る。ネット通販や村内の工房で部品を買い集め、自分で組み立てるタイプが多く、銃身の強度や暴発防止装置は担保されていないケースも少なくない。
タイ在住の日本人にとっても、地方への旅や友人の実家訪問で「銃を見せてもらう」場面に出会うことはある。写真を撮るだけの観光気分で取り扱えば事故につながりかねない道具であり、今回のように熟練の持ち主ですら命を落とす現実がある以上、「そっと距離を置く」判断も大事な選択肢として意識しておきたい。