タイ商務省国内貿易局は4月21日、パーム油ボトル製造業者1社からの値上げ申請を承認し、1本あたり1〜2バーツの引き上げを認めた。新しい小売価格は47〜49バーツとなり、すでに承認メーカーの商品は適用が始まっている。タイの家庭料理に欠かせない調理油のため、値上げは家計に直接響く。
値上げの発端は、国内生のパーム実生産量の低下にある。2024年の生産予測は188万〜250万トンで、干ばつの影響で例年より下振れする見通しだ。ボトル充填の過程でコストの上乗せが積み重なり、メーカー側は値上げを求めてきた。申請が出されたのは4社で、このうち1社が1〜2バーツの範囲で承認を得た形である。
残る3社は50バーツ超という高めの申請を行っており、交渉はまだ継続している。国内貿易局は「消費者への影響を最小限に抑える」として、段階的な値上げに誘導する方針で、一括の大幅値上げは抑制する構えだ。タイでは食用油・米・卵・砂糖といった基本食品の価格を政府が強くコントロールしており、自由放任の市場価格にはしていない。
一方で、世界市場の動きはやや矛盾的である。マレーシア産の未精製パーム油(CPO)は1kg39.50バーツから36バーツに下落しており、原油価格の下落に連動した軟調地合いだ。国内の小売価格が上がっている背景には、世界原価よりもタイ国内の加工・物流・流通コストのほうが支配的になっている構造がある。
小売の現場価格は購入場所で差がある。百貨店・大型スーパーが47〜49バーツ、コンビニエンスストアは49〜50バーツ、市場や町の個人商店では50バーツを超えるケースも多い。家庭用の1Lボトルを毎週購入する世帯にとって、1本2バーツの値上げは月8〜10バーツの追加支出となり、一見小さいが食材全体のコスト増と重なると家計圧力として無視できない。
在タイ日本人の家庭や飲食店にとっても、パーム油は炒め物・揚げ物の基礎素材である。外食産業のコスト転嫁が進めば、レストランのメニュー価格にじわじわ影響が及ぶ。冷凍食品・スナック菓子・ドレッシングなどパーム油を原料とする加工食品全般の価格にも波及する可能性があるため、数ヶ月単位での家計への影響を注視したい局面だ。