サムットソンクラム県で4月20日、19歳の青年が脳血管破裂で急死、両腎臓を他の患者に提供する決断が家族と本人の遺志によって実行された。美しく深い救命の連鎖として、サムットソンクラム病院で表彰式が開かれた。タイ社会での臓器提供の重要性を改めて示す事例である。
Khaosodによると、亡くなったのはサムットソンクラム県メークロン区在住のアピラック・プラトゥムポン氏(19)。4月8日夕方、帰宅途中に脳の血管が破裂し、意識不明のまま息を引き取った。突然の別れだったが、生前から家族とともに「臓器提供したい」という意志を持っていたという。
ソムデットプラ・プッタルートラー病院のティエンチャイ・メタナポクン医師(院長)は、家族の同意のもとでタイ赤十字社を通じた両腎臓の提供を進めた。2つの腎臓はそれぞれ別の患者に移植され、日々透析に頼って生きていた人々の生活が劇的に改善する展開となった。
4月20日の表彰式には、同病院スタッフとサムットソンクラム赤十字副会長ナットスダ・ウォンスワン氏、同病院看護部長パコモン・ケンタム氏らが集った。タイ赤十字社総裁でもあるシリントン王女(第64代ラマ9世の娘)からの感謝状が遺族に渡された。
タイでは臓器提供の文化がまだ根付いていない。仏教の輪廻思想と「来世で完全な体で生まれ変わる」という信仰が背景にあり、臓器提供に抵抗を感じる家族が多い。そんな中で19歳の青年と家族が提供を選んだ決断は、社会的に大きな意味を持つ。
タイ赤十字社は臓器提供登録者の拡大に長年取り組んできた。腎臓透析で生活する患者は全国に5万人以上おり、移植待機者リストは常に長い状態である。アピラック氏のような若い提供者の存在は、待機者の希望の光となる。
アピラック氏の家族は「息子の最後の贈り物が誰かの命を繋げれば、それが最高の追悼になる」と表彰式で語った。19歳という若さで命を絶たれた悲しみの中で、家族が見出した意味は重く、周囲に深い感動を広げている。
在タイ日本人にとっても、臓器提供意思表示は人生設計の一部となる可能性がある。タイ赤十字社のホームページから臓器提供意思登録は可能で、家族との意思共有が実際の提供時の手続きを円滑にする。人生の最後に誰かを救う選択肢として、検討の価値がある。