プーケットの静かなビーチがSNSの議論の場になった。タイ・イタリア系YouTuberのナウィンダ「ミント」ベルトッティ氏が、プーケット北部のマイカオビーチで動画撮影中、外国人カップルから「どけ(移動しろ)」と要求され、その様子を自身のVlogで公開した。公共ビーチでの外国人とタイ人の距離感を巡って、SNSで賛否両論が巻き起こっている。
The Thaigerによると、事案は4月20日にSNSで拡散した。ナウィンダ氏はタイの旅行ブロガーかつ女優で、タイとイタリアの血を引く人気クリエイターである。プーケット旅行中の日常を記録する通常のVlog撮影だったが、外国人カップルとの遭遇が予想外の展開を生んだ。
マイカオビーチはプーケット空港の北側に位置する静かなビーチで、観光客も多いが地元タイ人の穏やかな休息の場でもある。公共の海岸であり、誰でも利用できる空間だ。ナウィンダ氏は自身の撮影の合間に、外国人カップルから「私たちの前で撮らないで、どけ」と言われたと映像の中で説明している。
SNSの反応は大きく分かれた。「外国人がビーチを私有化しようとしている」「公共空間での振る舞いが傲慢」というタイ人側の批判と、「カップルのプライベートな時間を尊重してほしい」「YouTuberが公開で撮影するなら周囲への配慮が必要」という外国人寄りの声が対立している。
タイの観光地での外国人のマナー問題は、2026年に入って継続的に話題になってきた。パタヤ・プーケットのビーチ、ウォーキングストリートの乱射、空港でのトラブル、バイクスタントなど、繰り返し報じられるケースが少なくない。公共空間の「誰のもの」という本質的な論点が、毎回浮かび上がる構造である。
ナウィンダ氏の動画は短時間で数百万回再生を記録し、コメント欄は賛否両論で荒れた。彼女自身は「自分の国で、公共のビーチで撮影していただけ」との立場で、動画を削除せずに残している。タイ人からは支援のコメントが多い一方、外国人居住者からは「動画公開で相手の顔を晒すのはプライバシー侵害」との指摘もある。
プーケット県観光警察は公式コメントを出していないが、地元の観光業界関係者は「外国人観光客と地元住民のトラブルは増加傾向にある」と認めている。外国人のマナー教育、タイ人の権利意識、SNSでの拡散ルールが、これからの観光地運営で問われる課題だ。
在タイ日本人旅行者にとっても、この事例は「公共空間での撮影」「他者との距離感」を改めて考える機会になる。自分が撮影する立場でも、撮られる立場でも、双方の尊重が肝心である。トラブルを避けるためには、撮影前の一声かけと、柔軟な場所の移動が賢明な対応となる。