チョンブリ県ナーチョムティエン警察は4月20日、ホテルの修理スタッフとして働いていた男スリパン容疑者(35歳)を窃盗の疑いで逮捕した。男はホテルのマスターキーを使って宿泊客の客室に侵入し、累計50万バーツ以上の金品を盗んだと見られている。
逮捕地点はサッタヒープ区ナーチョムティエン・ムー2にあるエウアートーン公営住宅の自室で、盗品が現物で発見された。押収されたのは金装身具の数々で、プラ・ナーン・クワック(幸運を呼ぶタイの商業守護仏)のペンダント付き3バーツ重量の金ネックレス、50サタン重量の金ネックレス、同じく50サタンと1バーツ重量の金ブレスレットが含まれる。タイでは1バーツが約15.2グラムに相当するため、総重量は現金換算で数十万バーツ規模になる。
指揮を執ったのはピシット・タンシリセティアン警視正(ナーチョムティエン警察署長)で、捜査副署長アディソーン・コーンコイ警視補、捜査係長ウィロート・インタチョーム警視補らが捜査チームを組んだ。容疑者が被害者宅ならぬ勤務先ホテルの内部事情を把握しており、マスターキーの保管・使用履歴の追跡から身元が浮上した形である。
ナーチョムティエンはパタヤ南方のビーチリゾートで、日本人を含む外国人観光客にも利用されるホテルが点在するエリアである。長期滞在のコンドミニアム併設型リゾートも多く、宿泊客が金装飾品を客室に残したまま海やプールに出ることが少なくない。今回の事件は、そこを狙った典型的な内部犯行である。
タイのホテルでは客室に小型セーフティボックスが設置されているが、パスポートや現金以外の貴重品まで預ける利用客は多くない。マスターキーは清掃・メンテナンス部門に渡る運用が一般的で、管理が甘いと従業員がいつでも客室に入れる状態になる。今回のように1人の修理工が長期にわたって盗みを重ねるケースは、タイでは過去にも繰り返し摘発されている。
日本人利用者への教訓ははっきりしている。タイのビーチリゾートに宿泊する際、金装身具や高額現金は客室に置かず、フロントのセーフティボックスかホテル金庫に預けるのが無難である。ホテル側の管理責任は問われるが、盗まれてから「マスターキー経由の内部犯」と判明しても金は戻らないケースが大半である。