タイ北東部ルーイ県プークラドゥン郡で4月20日、夏の嵐と雹嵐が住宅街を1時間以上にわたって襲い、住宅4〜5軒の屋根が穴だらけになった。被災住民の1人ソーパン・チンソーパー村長は、寝たきりの妻を何度も抱え直しながら安全な場所へ避難させたと地元紙に語っている。
現場はプークラドゥン郡フアイソム区ムー3バーン・サパンヤオのクムチャンティップ集落。降ってきた雹は鶏卵から拳ほどの大きさがあり、トタン屋根を貫通して室内に飛び込んできた。ソーパン村長は「戦争映画の中のようにトタン屋根が弾痕だらけになった」と表現している。
被害の中心となった4〜5軒の住宅では、屋根の穴から雨と雹が直接降り注ぎ、家財に深刻な被害が出た。ソーパン村長の自宅には寝たきりの妻がいたため、本人がベッドごと何度も位置を変え、室内で雹の落下を避けられる場所へ移動させた。1時間にわたる避難のやり直しは、家族にとって極限の1時間だったと見られる。
集落周辺では電柱が何本も折れ、停電被害が広がった。農作物の被害も大きく、ルーイ県内では今回の嵐で複数の世帯が同時に家屋・農業両面の損失を被っている。地方自治体と電力会社は4月21日以降の復旧作業に向けて動いているが、被害の総額はまだ算定段階にある。
タイ北部・東北部では今月、同じような雹嵐が連続している。先にドイ・アンカーンで20分の雹嵐で地面が雪のように白くなった事例や、カオコーでも20分の雹嵐でキャベツ畑が壊滅した事例も報じてきた。今回のルーイは1時間以上という継続時間の長さで、住宅被害の深刻度では突出している。
タイは4月中旬から気候が不安定化しやすい季節に入り、気象庁は全国49県で夏嵐警報を発令し続けている。雹は通常、積乱雲の強い上昇気流で氷粒が成長することで生まれるが、拳大のサイズに成長するためには相当強い対流が必要で、今回のルーイの事例は気候の異常性を示す1つのサインと言える。寝たきりの家族を抱える世帯は、気象警報を受けた際の早期避難計画を見直す必要がある。