タイ政府系の貯蓄銀行(GSB、Government Savings Bank)が1000億バーツ(約4300億円)の低金利融資(Soft Loan)を投入する。中小企業(SME)と一般事業者を対象に、金利は年3.5%以下に抑えられ、16の商業銀行と特殊金融機関を経由して融資される仕組みだ。エネルギー危機・経済不確実性・海外紛争の影響に苦しむ事業者の資金繰り支援が目的である。
Khaosodによると、GSBのソンポン・チーワパンヤロート総裁が4月20日に発表した。4月11日の閣議決定を受けて動き出した政策で、「GSBプリクフン・ビジネス・タイ(タイ事業再生)」という名称が付けられている。
融資の規模は1000億バーツ、金利は年3.5%以下という条件である。タイの商業銀行の通常の融資金利が年6〜8%台であることを考えると、実質的な「金利半減」の支援策と言える。事業者にとっては再投資・設備拡充・運転資金の確保に大きな助けとなる。
流通の仕組みは間接的である。GSBは16の参加金融機関(商業銀行・特殊銀行・ノンバンク含む)に、極めて低い金利で資金を貸し出す。参加金融機関は、これを元手にSME・事業者に最終融資する。GSBが仕組みを作り、現場の融資は各銀行が担う分業体制だ。
対象となるのは国民と中小企業の事業者である。融資が使える用途は、事業再生、運転資金確保、エネルギー転換(再生可能エネルギーへの切り替え、EV導入等)を含む広範な領域に及ぶ。中東情勢で燃料費が上昇した事業者、消費者心理の冷え込みで売上が減った店舗、新しい技術投資を検討中の工場などが想定利用者である。
エネルギー転換への支援も組み込まれた点が特徴的だ。政府は公用車のEV化と並行して、民間事業者のエネルギー転換も促す方針で、Soft Loanはその実行手段の一つとなる。太陽光発電の設置、EV運搬車両の導入などが対象に含まれる。
タイのSME支援は過去にも類似の政策があった。2011年の大洪水、2020年のコロナ禍、2022年のエネルギー高騰時と、危機のたびにGSBが主導する Soft Loan が投入されてきた。今回の1000億バーツは過去の規模に匹敵する大型政策である。
在タイ日本人の中小事業者にとっても、この融資は利用の余地がある。タイ法人としてタイの商業銀行に融資口座を持ち、タイで納税している事業者なら、参加金融機関を通じた申請が可能である。金利3.5%以下という水準は、タイでの事業資金調達では貴重な機会だ。