ロッブリー県サボット郡マハーポー地区で4月19日未明、絶滅危惧のスローロリスが送電線をよじ登る姿が目撃された。タイ語では「ナーンアーイ」と呼ばれる可愛らしい姿の夜行性動物で、タイ人ユーザーグループ「siamensis.org」が撮影動画を公開したところ、SNSで大きな反響を集めた。
撮影者は「どこから来たのか分からない。誰かがペットにしていたのだろう」とコメントしている。スローロリスは昼間は木に身を潜め、夜間に行動する性質だが、通常は森林内を動き、住宅街の送電線に出現することはほとんどない。ペットとして飼育されていた個体が逃げ出した、あるいは捨てられた可能性が濃厚とみられる。
スローロリスはタイの野生動物保護法(1992年制定)の第151号指定種で、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引に関する条約(CITES)の付属書IIに掲載されている。捕獲や売買は厳しく規制されているが、可愛い見た目から密輸・密売が後を絶たない。
体は小型で、白っぽい短毛が柔らかく生え、頭から背中にかけて濃い茶色の線が走るのが特徴である。丸い大きな目と短い顔立ちがペット需要を生んでいるが、野生では昆虫・小さな鳥の卵・果実を食べて暮らす繊細な生き物だ。
生息域はヒマラヤからミャンマー、タイ全土、インドシナ半島に広がる。タイ国内でも北部・東北部・中部・南部の森林域で見られるが、森林伐採とペット取引の影響で個体数は年々減少している。
タイでは近年、違法ペットとして飼われていた野生動物が森林地帯や住宅街に現れるケースが続いており、スローロリス、マレーヤマアラシ、ワニなどの目撃例が報告されている。今回の個体は住民の通報で地元の野生生物保護当局が保護に向かう見通しである。
在タイの日本人にとっても、ペットショップやSNSで絶滅危惧種の動物を見かけた際は、違法取引の疑いがある。購入や飼育を避け、疑わしければ天然資源環境省の野生動物保護部門に通報するのが原則となる。