ラノーン県で起きた金塊窃盗事件の裏に、想像を超える家族の確執があった。250万バーツ相当の金塊35バーツが盗まれた事件で、警察は実行犯を手引きした首謀格を逮捕したが、驚くべきことに被害者の叔父だった。動機は「甥がSNSで金購入をアピールするのが気に食わなかった」という、SNS時代の新たな家族トラブルである。
事件が起きたのはラノーン県ノックカオ・サパンプラ通り、4月10日である。被害者の自宅に強盗団が侵入し、金塊35バーツ(約525グラム、250万バーツ超=約1100万円相当)と、金メッキ・未メッキの仏像数点を奪って逃走した。被害者はSNSで防犯カメラ映像を公開して情報提供を呼びかけていた。
4月19日午後、ラノーン市警察署の捜査チーム(タワッチャイ・スンチャローン大佐率いる)が第1容疑者を逮捕した。Khaosodによると、容疑者は被害者の親族(叔父にあたる関係)で、取り調べで犯行への関与を認めた。
動機は単純かつ今風だった。被害者が金塊を購入してSNSに投稿する姿が気に食わず、その金持ちアピールに腹を立てて、窃盗団に被害者宅の情報を流したというのである。タイ語で「หมั่นไส้」と表現される嫉妬混じりの不快感で、家族や近しい相手への「気に食わない」感情を指す言葉が使われた。
警察は残り3人の実行犯も把握しており、追跡中である。主犯格の身柄確保に向けた捜査が並行して進んでいる。金塊の一部は既に売却された可能性があり、転売ルートの割り出しが焦点となる。
タイの金塊(トーンテーン)文化は独特で、投資と装飾の両面で愛されてきた。35バーツという量はかなり大きく、金バーツ1本あたり15グラムの計算で525グラムに達する。一般家庭で所有するには異例の量で、SNS投稿でも目立つ対象だった。
タイ人が金をSNSで披露する行為は富の象徴と親戚への報告を兼ねた慣習でもあるが、今回のような嫉妬犯罪のリスクも内包する。在タイ日本人にとっても、日常的に金を購入する社会では、露骨な投稿を控えるという防犯的な知恵が必要な時代になっている。