タイ警察がバンコクとノンタブリにまたがるコカイン組織を摘発した。4月19日発表によると、数ヶ月の捜査を経てナイジェリア人とスイス人を含む4人を逮捕し、コカインと関連資産を押収した。タイで外国人関与のコカイン組織が一網打尽にされるのは珍しい。
捜査の焦点は、47歳のナイジェリア人「パトリック」容疑者だった。バンコク市内で午前中に身柄確保されている。タイ語圏のKhaosodが先行で報じた内容によれば、逮捕時に「タイの刑務所で年老いるのは嫌だ」と泣いて訴え、帰国を望む姿を見せたという。
他の逮捕者はスイス人を含み、バンコクとノンタブリの複数拠点で一斉捜索が行われた。コカインに加え、現金・高級車・高価な腕時計など組織の蓄財品が押収された。
タイの麻薬市場では覚醒剤(アイス)とヤーバー(メタンフェタミン錠剤)がゴールデントライアングル経由で大量に流入しているが、コカインは比較的マイナーな位置付けだった。ただし近年、南米から香港・シンガポールを経由してタイに持ち込まれるコカインが、観光客や富裕層向けに流通を広げていた。
外国人組織が関与するタイの麻薬事件では、パタヤ・プーケット・バンコク中心街の高級ナイトクラブ周辺が拠点となる傾向がある。ナイジェリア人の仲介ネットワークは西アフリカから中東・南アジア経由でコカインを持ち込む手口が知られており、タイ当局の国際連携捜査が効果を挙げた形だ。
ソンクラン明けのタイミングでこうした摘発が公表されるのは、観光シーズンに紛れた麻薬取引への警告メッセージでもある。タイ刑法では麻薬取引・所持は量次第で最大死刑まで規定されており、外国人でも容赦なく適用される。
パトリック容疑者が涙ながらに帰国を願ったものの、タイ司法の枠組みでは釈放・送還のハードルは高い。数ヶ月をかけた捜査の成果が、長期収監で結実する見通しである。

