ソンクラーン期間中の2026年4月16日、バンコクの有名寺院の名前が刻まれた皿が写ったSNS投稿が波紋を広げた。2人の僧衣風の男性が飲酒している写真で、宗教局への調査要求まで発展した。
SNSに拡散した問題写真
Facebookページ「クナオタウ・スリスワンナピロムピック」が投稿した写真には、剃髪した2人の男性が僧衣の下衣(サボン)姿で室内に座り、酒を飲みながら食事をしている様子が写っていた。投稿文には「信仰を揺るがす内部流出写真!! 若い僧侶がソンクラーン前夜に酒宴を開く、宗教局はどこにいるのか、早急に調査を」と書かれていた。
写真が広く注目を集めた理由のひとつは、食器に寺の名前が書かれていたことだ。バンコクの有名寺院の名前を持つ皿が映り込んでいたため、「その寺の僧侶では」という憶測が広まった。ただし、これがその寺で撮影されたものか、いつ撮影された写真かは確認されていなかった。
タイの僧侶とSNS時代の課題
タイ仏教の出家者には厳格な戒律がある。飲酒は五戒(在家信者向け)にも含まれるが、出家者の戒律(波羅夷・パーティモッカ)ではさらに細かく飲酒を禁じている。写真の人物が現役の出家者かどうかは不明だが、僧侶に見える服装をした人物の飲酒シーンはタイ社会の反応を呼びやすい。
近年、タイのSNSでは僧侶に見える人物の不品行とされる投稿が繰り返し拡散する。中には古い写真の再拡散や、僧衣を纏った一般人の場合もある。タイ宗教局(サムナック・プット)は問題写真を受けて調査を開始するが、SNSの情報の真偽確認には時間がかかる。
タイ仏教の現在の課題
タイには仏教寺院が全国に約41,000か所あり、出家者は25万〜30万人規模とされる。若い出家者を中心に戒律違反の行為が問題視されることが増え、タイ宗教局は監視体制の強化を進めている。
今回の写真拡散は、タイのソンクラーン期間という文化的に重要な時期に重なったことで注目度が高まった。ソンクラーンは仏教の新年行事でもあり、タイの仏教文化にとって特別な意味を持つ。そのお祝いの場で「僧侶が飲酒」という映像が出回ることへの反発は、宗教的感情に直結したものだった。
仏教省と宗教局は寺院を監督する立場にあるが、SNSで毎週のように拡散される「疑惑画像」への対応に追われているのが実情だ。デジタル時代の宗教機関の情報管理と、誤情報への対処は課題として残る。
寺院側の対応
報道時点で写真の寺院側は特段のコメントを出していなかった。仮に現役の出家者であれば、宗教局による調査と戒律委員会への付託、還俗処分の可能性があった。タイ仏教では重大な戒律違反に対しては公式に還俗を命じる手続きがある。
この事件は、タイ仏教が信者の厚い信仰に支えられながらも、内部の問題が簡単に外部に流出するSNS時代の難しさを象徴している。