エネルギー大臣のエークナット氏は4月16日、燃料の買い占めが疑われる倉庫を少なくとも5箇所発見したと発表した。全国92の燃料貯蔵施設を法務省、DSI(特別捜査局)、警察、海事当局の合同で調査した結果である。
保管されていたディーゼルは約7億リットル、総額100億バーツ(約500億円)を超える。手口は単純で、補助金で安く抑えられていた時期に大量に仕入れ、価格が上昇してから高値で転売するというものだった。ディーゼル補助金が段階的に削減されるなか、値上がりを見越した買い占めが横行していた。
3月の燃料危機時、製油所は日産7000万リットルから7800万リットルへ増産していたにもかかわらず、ガソリンスタンドへの供給量は減少していた。増産分がスタンドではなく備蓄倉庫に流れていたことになる。政府が投入した石油基金の約600億バーツ(約3000億円)は、消費者の負担軽減ではなく転売業者の利益に化けていた計算である。
当局は2月まで遡って証拠を収集しており、DSIと警察に起訴を準備中である。禁錮刑を含む厳罰が適用される見通しで、監督を怠った当局者の処分も検討されている。石油基金からの損害賠償請求も視野に入っている。
運送業者への燃料補助など末端への支援策が進む一方で、流通の上流では大規模な不正が行われていた。海上での燃料密輸や無申告販売の疑いもあり、タイの燃料供給網の構造的な問題が改めて露呈した形である。


