タイ警察は4月16日、サムットプラーカーン県で自分の誘拐を自作自演した中国人女性・トンと共犯者3人を逮捕した。父親から身代金11万元(約55万バーツ)を騙し取ろうとした疑いだ。
首謀者のトンは、交際相手のユー(29歳)とフー、ホウ(ともに26歳)と共謀し、カンボジアで誘拐されてミャンマーを経由してタイに移送されたように見せかけた。父親にはトンが拷問を受けているとの偽の映像が送りつけられ、身代金の支払いを強く要求した。一行は3月28日から4月2日まで、バンコクのフアイクワーン区のアパートに滞在しながら詐欺を実行していた。
手口は中国・東南アジアを中心に広がっている「バーチャル誘拐詐欺」の典型例だ。本人が安全な場所に隠れながら「被害者」を演じ、海外に住む家族に身代金を要求する手口は、家族の感情と地理的な距離を悪用する計算された犯罪だ。本物の誘拐事件と区別がつきにくく、早期解決が難しい特徴がある。
タイは中国やカンボジア、ミャンマーとの国境を持ち、こうした詐欺グループが行動拠点として選びやすい地理的特性がある。ホテルやアパートを点々としながら通信機器を使って詐欺を行うため、捜査が難しい側面があるが、今回はスマートフォンの位置情報とカメラ映像の解析によって逮捕に至ったとされる。
4人は詐欺罪と共謀罪の疑いで訴追される見通しだ。被害を受けた父親は中国にいるとみられており、55万バーツの被害回収が実現するかどうかは今後の手続き次第だ。