ナラティワート県議員カモンサック・リーワーモー氏(タイ民族党)を狙った3月20日の銃撃事件で使用された軍の公用車について、ISOC(内部安全保障作戦司令部)は4月13日に調査結果を発表した。問題の車両はISOCナラティワート県前線司令部所属の庶務用ピックアップで、海軍大佐が正規手続きを踏まずに海軍大尉に個人的に貸し出していたことが判明した。
事件の概要
3月20日、カモンサック議員を乗せた車両がナラティワート県内で銃撃された。議員は一命を取り留めたが、銃撃に使用された車両が軍の公用ピックアップだったことが早い段階で判明していた。
調査の結果、ISOCナラティワート前線司令部所属のピックアップが関与したことを確認。車両管理を担当していた海軍大佐のモントリー氏が、ウィロート海軍大尉に私的に貸し出し、ウィロート大尉がその車を銃撃に使用した。海軍大佐は正規の貸し出し書類も作成していなかった。
「組織的関与はない」と否定
ISOCは「貸し出しは個人の判断であり、組織としての指示・関与はない」との見解を示した。しかし公用車の不正貸し出しは軍規律違反であり、刑事責任も問われると認めた。
首謀者とされるウィロート大尉は事件直後から逃亡中で、4月13日時点でも行方不明だ。共犯者とされる海軍中尉と元レンジャー兵も未逮捕で、指名手配が継続されている。
深南部の政治的暗殺の文脈
深南部3県では地方議員や行政官を狙った暴力が繰り返されてきた。今回の事件は軍の公用車が使われたという点で異例の重大性があり、軍内部の人物が関与した疑惑を提起した。ISOCが「個人の行為」で収束を図っているが、議員や市民の間には「組織的な背景を完全に否定できるのか」という疑念が残る。