ソンクラン連休中の4月12日、野党・国民党の国会議員ラクチャノック・シーノークとプロブ行財政委員会メンバーのパンニカー・ワニットが、ノンタブリー県のターナムノン市場を視察した。例年この時期は水かけ祭りの帰省客で混雑するはずの市場は、今年は閑散としたままだった。
「毎年この時期は人でごった返すのに、今年は全然違う」と複数の出店者が口を揃えた。燃料高に伴う仕入れコストの上昇が直撃しており、売値への転嫁もできずに差額を自腹で吸収しているという。野菜や果物の仕入れ価格は1割から2割ほど上がっているが、客が来ないため値上げすると客足がさらに遠のくという悪循環に陥っている。「政府に早く助けてほしい」と訴える声が相次いだ。
バンコクに隣接するノンタブリー県は通勤圏内のベッドタウンであり、ターナムノン市場はチャオプラヤー川沿いに立つ老舗の観光市場でもある。ソンクラン連休に地元民だけでなく観光客も訪れる観光スポットとして知られているが、今年は人影がまばらで、出店者は長時間座って客を待ち続ける状況が続いた。
中東情勢の悪化を受けて2026年3月以降、タイの石油基金は急速に赤字を拡大した。ガソリン・ディーゼルともに国際価格の上昇を補助金で抑えきれなくなり、各スタンドへの供給が滞る事態も発生した。輸送コストが上がれば、生鮮食品の値段が上がる。市場の出店者にとって、燃料高は単に自分の車の給油代が上がる問題ではなく、仕入れから販売の全工程に波及するコスト増圧力として降りかかっている。
野党議員らは視察後、政府に対し生活費軽減策の早期実施を求めた。閣議では77億バーツの救済パッケージが承認されたばかりだが、市場の現場には届いていない現実が浮き彫りになった。「来週には対策が届くはずだと聞いている。でも今日も店を開けなければならない」と別の出店者は語った。
今回のターナムノン市場の光景は、都市近郊の日常的な消費の場にまで燃料危機の影響が波及していることを示している。観光地だけでなく、住民の日々の食卓を支える地元市場でも客足が落ちているという事実は、生活コストの上昇が広範囲に及んでいることを裏付けている。燃料価格は石油基金の緊急措置で一時的に引き下げられたものの、仕入れや輸送コストの高止まりが続く限り、市場の閑散とした光景はすぐには変わらないとみられる。