サムットサーコーン県警が中部・西部8県の先駆けとして、被害届や各種届出のオンライン事前予約システムと、完成した書類のドライブスルー受け取りサービスを開始した。第7管区警察局(ภ.7)が推進する「クイックウィン(Quick Win)」施策の一環として導入された。
従来タイで警察署に届出をする際には、窓口に並んで長時間待たされることが常態化していた。午前中に並んでも午後まで待つことがあり、仕事を休んで手続きに来た人が1日を費やすケースも少なくなかった。在住外国人にとっても、タイ語でのコミュニケーションが難しい中での長時間待機は大きな負担だった。事前予約制が導入されれば、指定の時間帯に行くだけで手続きができ、無駄な待機が大幅に短縮できる。
ドライブスルーサービスでは、あらかじめオンラインや電話で申請を済ませておき、完成した書類を車のまま受け取れる窓口を設置する。雨の日や小さな子連れでの来署が不要になるため、特に子育て中の保護者や高齢者には便利な仕組みだ。
サムットサーコーン県は水産加工業が盛んで、多数のミャンマー人・カンボジア人などの外国人労働者が居住している。警察への届出や在留関連の手続きがスムーズに行えるかどうかは、外国人労働者の生活と権利保護にも関わる問題だ。デジタル化による手続き簡素化は移民・外国人労働者支援の観点でも意義がある。
タイ警察全体としては、スマートフォンアプリを使った届出や証明書請求のデジタル化を進めており、今回のサムットサーコーン県の取り組みはその地方版実装として位置付けられる。他の警察署への横展開が進むかどうかが今後の注目点だ。日本でも警察のデジタル化が進んでおり、タイでも「手続きのためだけに警察署に行く」という文化は徐々に変わりつつある。