タイ財務省の会計検査院(กรมบัญชีกลาง)が、中東紛争に起因する原油高と建設コストの急騰に苦しむ公共工事の受注業者向けに、契約の柔軟な見直しを認める救済措置を打ち出した。契約期間の延長や契約内容の変更に加え、契約の解除も違約金なしで認めるという異例の対応である。
対象となるのは政府機関と契約を結んでいる民間の受注業者で、原材料費や燃料費の高騰により当初の契約条件での履行が困難になったケースが想定されている。救済を受けるには、受注業者側が発注元の政府機関に対し、コスト上昇の具体的な根拠を示す書面と関連資料を提出する必要がある。
通常であれば契約不履行には15日以内の届け出義務と違約金が課されるが、今回の措置ではこの届け出期限も免除される。違約金の全額免除または減額のいずれかを選択できるため、資金繰りに窮する中小の建設業者にとっては事実上の「撤退ルート」が確保された形だ。
この措置は、中東情勢の悪化を受けた政府の経済対策パッケージの一環として位置づけられている。原油高は1〜2年続く見通しとされる中、公共工事の燃料単価も19バーツ引き上げられるなど、建設業界への支援策が相次いでいる。
タイでは公共インフラ事業が経済の柱の一つだが、燃料費と資材価格の同時高騰で工期の遅延や赤字受注が深刻化していた。今回の措置により、無理な続行を強いられていた業者が損失を最小限に抑えて撤退できるようになるが、一方でインフラ整備の遅れという副作用も懸念される。