タイのある寺院のトイレで生まれたばかりの男の赤ちゃんが発見された。へその緒の切り口から出血しており、応急処置が施された後すぐに病院に搬送された。命に別状はないという。
発見されたのはタイ中部の寺院のトイレ内で、参拝者が気づいて通報した。警察・地域の医療スタッフが現場に急行し、赤ちゃんを保護して病院に搬送した。母親は見つかっていない。
タイでは乳幼児の遺棄が毎年報告されている。タイ社会開発・人間安全保障省(MSDHS)の統計では、遺棄された乳幼児の保護件数は年間100件を超える年もある。遺棄の多くは10代・20代の未婚女性が経済的・社会的プレッシャーの中で行う緊急避難的な行動とされている。
タイ政府は「ベイビー・ハッチ(赤ちゃんポスト)」制度に相当する匿名での乳幼児引き渡し窓口を一部の病院に設置しており、犯罪に問われずに安全に赤ちゃんを預けられる仕組みを提供している。しかし制度の認知度はまだ低く、追い詰められた状況下では「捨てることしか思いつかなかった」ケースが後を絶たない。
タイの中絶に関する法律は2021年に改正され、妊娠12週未満であれば本人の意思だけで安全な中絶が可能になった(それ以前は強姦被害や健康上の理由に限定されていた)。法改正による影響で望まない妊娠の選択肢が広がったが、地方での医療アクセスと情報不足が依然として課題だ。
寺院は地域のコミュニティの中心地であり、困った人々が「最後の手段」として訪れる場所になることがある。宗教施設での乳幼児保護事案は、社会的セーフティネットの整備と、妊娠・育児に関する相談窓口の充実の必要性を改めて示している。
