ウタイターニー県バーンライ郡の徴兵くじ会場に、首から大量の仏像とお守りをぶら下げた青年が現れた。あまりの数に、兵士も住民も目が点になった。
タイの徴兵くじは毎年4月に行われる。21歳の男性が会場に集められ、赤い札を引けば2年間の兵役、黒い札なら免除となる。くじの結果は人生を左右するため、会場は独特の緊張感に包まれる。
兵役を避けたい若者は願掛けに走る。寺でお祈りをし、お守りを買い、中には霊媒師に頼る者もいる。だがこの青年は桁違いだった。仏像、護符、お守りを何十個も束ねて首にかけ、まるで鎧のように上半身を覆っていた。
会場に姿を現した瞬間、周囲がどよめいた。「あれで赤が出たらどうするんだ」と笑いが起き、兵士たちも思わず吹き出した。赤札か黒札か、結果が読み上げられる瞬間は住民も兵士も一体となって盛り上がった。
先に報じた徴兵くじで僧侶が赤札を引いて顔面蒼白になった事例もあったが、お守りの物量で運命を変えようとする青年もまたタイらしい。信仰と笑いが同居する徴兵くじの風景は、日本にはない独特の文化である。




